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天使降臨②


私はノアが握っている手の上から右手を

重ね合わせてギュッと力を入れた。


「ふふふ。ありがとう。ノアにそんな風に

思ってもらえて私は幸せだわ。でもね、私

にとってもノアはとても大切な人なの。

だから自分のことをどうなってもいいなん

て言わないで。ね?」


そう言って私はノアの顔に自分の顔を近づけ

て微笑んだ。

するとノアが顔を真っ赤にしてうつむく。

あっ、つい孫っちにするみたいに顔を近づけ

過ぎた……。孫っちより大きい子なのに

なんだか姿が重なっちゃって……。

おばあちゃんモード全開してしまったよ。


「あれ?姉様が父上の膝に座ってるなんて

珍しい……。逃げないのですか?」

ノアがゆっくりと顔を上げて言った。

来たな!その質問!


部屋の中に緊張した空気が流れた。

そんなに重要なの?レオンお父様の膝上は!


「10年間、レオンお父様から『膝の上』という

愛情を頂いていましたのでこれからは私もそれ

に応えていこうと思いましたの……。ふふふ。

根気負けですわ」

そう言って私はレオンお父様の方に顔だけ

向けた。


「ディア……」

レオンお父様が泣きそうな声で私を呼んだ。

そんな表情も色っぽい……。


「もう逃げたりはしません。でも毎日は

ちょっと……。少し間隔をあけてく

くださると嬉しいのですが……」

「も、もちろんだ!ディア!」

嬉しさのあまりなのか私の頭にキスの嵐だ。

止めとくれ。白目むくぞ。


「えぇ〜!!そうなのですか?じゃあ僕の膝に

も座ってよ!姉様!父上の膝にも座って、兄上

の膝にも座って僕だけダメなんてずるいよ!」

今、恐ろしい事をさらりと言ったけど!?


『兄上の膝にも座って』……?

レオンお父様よりも早くそちらには座ってる

ってことであってる?あぁぁ……。

それ言っちゃ〜ダメなやつな、きっと。


「ほう……。ルイの膝にも座っているのか

そうか、いつからだ?」

鋭い眼差しがノアを貫く。

うわー。レオンお父様、殺人鬼オーラ全開。

ご自分の息子さんですよ〜。

落ち着いて下さいね〜。


「え〜と……。姉様が小さい頃からかな?そう

ですよね?姉様?」

ノアが救いを求める目で私を見た。

おっと?私に丸投げかーーい!

しかし、そうなの?そうなのか!?

記憶が曖昧なので下手な事は言えない。


「あらあら、ノア、そんな事をディアに聞いて

はダメですよ。答えづらいでしよう?」

ローズお母様、はっきり言うな〜。


「あっ、ごめんなさい!それでは父上、兄上に

直接聞いてみて下さい」

「ああ、そうしよう」

天使なノアよ、血の繋がった兄を売ったな。


「どちらにせよノア、お前はまだダメだ。

そんな細い体、細い足で乗せ支えきれず

ディアに怪我をさせてしまったらどうする

のだ」

低く迫力のある声が響く。


「はい……。分かりました。姉様を膝に座らせ

られるようになるのを目標にこれからも頑張っ

て鍛えます。では僕は着替えてきますね……」

そう言ってノアはトボトボと部屋を出て行った。


いや、いや、もっときちんとした目標を持って

鍛錬してくれないかな?


レオンお父様の膝上問題がとりあえず決着した

雰囲気の中、ローズお母様が言った。


「ディア?お腹空いてないかしら?昼食、食べて

いないでしょう?何か用意させましょうか?」


うーん。正直あんまりお腹空いてない。

色々あり過ぎて。


「今はいいですわ。夕食まで少し休みます」

「そうだね。それがいい」


レオンお父様の少し低めの素敵な声が同意して

くれた。きゃわわん。耳福よぉぉ!


「夕食はディアのお部屋に用意するように言って

おくわね。その方がゆっくり食べられるでしょう?」

「はい。ありがとうございます」


ふーー。とりあえずこんな感じで一区切りじゃない?

私、きちんと『クラウディア』だった?

大丈夫だよね?

え〜と。ゆっくりしたいの。1人で。

それなのにキラキラ夫婦はニコニコしながら動こう

とはしない。


すまんけど、お願いだ!夕食までの間でいいから

休ませてくれぇ。

色々濃すぎて疲れてしまったよぅ……。








いつも読んでいただきありがとうございます♪

来週は火曜日に1話、水曜日に1話と2話更新

する予定です。

ゆるりとお楽しみくださると嬉しいです!

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