多分悪魔だと思います
私が落ち着くまで待つ、とレオンお父様が
言ってくれた。ノアも自分が説明する事も
出来るけどこれは姉様が話さなくてはいけ
ないと言った。
私は自分の部屋に戻ってソファーに座り
グタッと頭を下げる。そんな私の
隣ではローズお母様が手を優しく
握ってくれている。
ぼーとしながらも頭に浮かんでくるのは
キルア様の笑顔だった。
私のせいで。私のお守りが……。
何回も後悔する。
しくしくと泣いた。今は泣くに限る。
泣いて、泣いて、泣きまくる。
そんな私の頭を何も言わずに撫でてくれ
るローズお母様。
母親って凄い。側にいて頭撫でてくれる
だけで安心感がある。
泣いては泣き止んでそしてまた泣いてを
繰り返す。目がボンボンに腫れて妖怪
みたいになってるけど構うもんか。
ドアの向こう側では忙しく人が走ったり
歩いたりざわざわ話し声が聞こえてきたり
している。どうやらノアが取り仕切って
いるようだ。いつの間にか頼れる男の子
に成長していたんだねぇ。おばちゃんは
感激だよ。そして忙しいのに全然役に立た
ない駄目女でごめんよ……。
復活したらさ、人の何倍も働くからね。
しくしくしてる最中にもメアリーが
ちょこちょこ今の状況を報告してくれる。
できたメイドだ。
「今、ご遺族様達がご遺体を引き取りに
いらしております」
うっ……。そう。ちょっと今のメンタルでは
とてもじゃないけどキルア様のご家族には
会えない……。
ちなみにご遺体には防腐の魔法がかけられ
葬儀まで傷まないそうだ。
亡くなられた騎士様達は国葬になるらしい。
「負傷された騎士様達は皆、病院に搬送され
ました」
そうか……。良かった。これできちんとした
設備の中で治療してもらえるのね。
しくしくしながら私はメアリーの報告に頷く。
「お嬢様。お茶をお持ちしました。少し温かい
ものをお腹に入れられた方がよろしいかと」
エドが私の大好きな紅茶を運んできた。
エドだ。今日初めて会うね。
こんな妖怪みたいな私だけど。
「ありがとう……」
お礼を言って紅茶を飲む。
ローズお母様も一緒に飲んでくれている。
温かいなぁ。うん。もう少しで復活でき
そう。
結局復活したのは夜になってからだった。
レオンお父様もルイお兄様も昼間はまた
王城に行っていたようだ。
で、レオンお父様とルイお兄様が帰って
来たので私の部屋に家族だけ集まってもら
った。あ、エドとメアリーは特別に一緒
です。
ショボショボしていた私の顔をノアが見て
ぱぁぁ〜と光魔法をかけてくれた。
突然だったので断ることも出来なかったけど
何回も言ってますが貴重な光魔法を私に
使うな。お願いだ。皇帝陛下とかにバレたら
乱用するな!と、私お縄になるんじゃね?
でもノアのおかげで腫れていた目が元にもど
ったから世界が広い。腫れてると世界が半分
になるのね。
さて私の指定席。ポンポン。ポンポン。
音がする……。はい。はい。
座りますよ。座らせていただきますよ。
ポスっとレオンお父様の膝の上に座る。
その両脇にローズお母様とノアが陣取り私の
手をそれぞれ握る。正面には美人なルイお兄様。
相変わらず濃いな。ヴィンセット家は。
私は信じてもらえるか心配で中々話せずに
いたけどノアがギュッと手を握ってくれて
「大丈夫です。皆んな姉様の味方だから」
と言ってくれた。気持ちがゆるんで話せそうだ。
見えた事を全部話した。怖かったし悲しかった
けどきちんと最後まで話せて一安心。
レオンお父様が後ろからが私を優しく抱きしめ
てくれた。うーん。お久しぶりの良い香り。
癒されるぅー。