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お守り⑦


「お嬢様!お嬢様!」


メアリーが私を追いかけて来る。

私の頭の中はぐるぐるとしていた。


キルア様が殺されたのは私のお守りのせい

だ。キルア様がお守りを持っていなければ

あの悪魔に目を付けられる事もなかった

だろう。

私がキルア様を殺してしまった。

なんて事を……。


待って、待って。

愛しい人って私のこと?お守りの香り

嗅いでそう言ったって事はそうなんだ

ろうけど。

アンタなんか知らん。

誰だよアンタは。


倒れそうになるのをメアリーが支えてくれた。

支えられながらゆっくり歩いていると前方から

ノアが走って来た。


「姉様!?どうしたのですか!!」


心配そうに私を支える。


「ノア……どうしましょう……私のせいで

私がキルア様を……どうしま……」


声が詰まって出てこない。

ノアはメアリーに目で合図すると左側にある

客室へと私を誘導した。


「姉様、座って。ゆっくり息をしてね?

まずは落ち着こうね」


天使の笑顔だ。少し落ち着いてきた。

私がソファーで座っているとノアは

メアリーに


「お前は怪我人の所へ行って手伝ってくれ。

もう大怪我の騎士は手当が済んでいる。姉様

は僕がいるから大丈夫だ」


そんなような事を言ったと思う。

そしてメアリーが今の私の状況を説明して

いたと思う。

ノアはメアリーが去ったあと直ぐにドア

を閉めて私の横に座った。


「姉様、キルア様のご遺体を見てしまったん

ですね?」


そう言って私を優しく抱きしめてくれた。

ぎゅっと目を瞑りながらボソボソと私は話し

出した。


「ノア……私が渡したお守りが……あのお守り

のせいでキルア様は亡くなったわ。作らなければ

よかった……渡さなければ……よかった……」


頭をポンポンしてくれた大きな手の温もり

をもう感じる事はできない。

『ディア姫』と優しく呼んでくれた声はもう

二度と聞けない。

時には冗談を言って時には真剣に励ましてくれ

たあの優しさはもう……。


ノアの胸に顔を埋めてギャンギャン泣いた。

どれだけの時間泣いていたのだろうか。

その間、ずっとノアが抱きしめてくれて頭を

撫でてくれていた。

こんな泣き虫で情けない姉様でごめん。


私が少し落ち着いてきたのが分かったのかノア

が優しく訊いてきた。


「キルア様が亡くなったのが姉様のお守りの

せいだなんて何故そう思うのですか?」


私はノアの服をグッと握りながら言った。


「ご遺体に触れた時に……見えたの。

キルア様の最後の時が……。一瞬で私の頭の中に

入ってきたのですわ。信じて……もらえる?」


過去が見えたなんて信じてもらえないと思いつつ

私は話す。キルア様のご遺体を見て気が動転して

いるのだろうで片付けられてしまうのが普通だ。


ノアは私の顔を両手で包み自分と目を合わせて

言った。


「勿論、信じます。姉様の言う事を世界中の人が

信じなくても僕は、僕だけは何があっても信じます。

詳しく話してくれますか?」


落ち着いてきたのでノアに少しずつ見えた事を

話し始めた。


「そのローブの人物は多分……人型の魔獣では

ありませんわ。私が感じたのは……そう……

『悪魔』……」


全て話終わって自分が感じた事も伝えた。


「姉様、今、『悪魔』と言いました?」


ノアは驚く。


「ええ……。言いましたわ……」


泣きはらしてボンボンに腫れた目でノアを見る。


「でも悪魔はもう1000年前から姿を見せていな

いのです。『金色の女神様』が退治したと言われて

います」


わちゃ〜。そうだよね。

確かこの国の歴史みたいな科目で家庭教師の人が

説明してた様な気がする。魔力覚醒してない私が

感じることなんて当てにならないわ〜。


「そ、そうよね。私の勘なんて当てに……」


「いえ。今になって生き残りが動き出したの

かもしれません。どちらにせよ姉様が見た

事を父上と兄上に伝えなければ」


はい。会話被せ。なんか安心するわ。


はっ!今、気が付いた……。


「ノア!ルイお兄様が持っている私のお守りを

処分しないといけないですわ!それの痕跡を辿っ

て来たら……。ルイお兄様が危ないわ!」


私は真っ青になってノアに訴えた。


「姉様、あの兄上です。大丈夫ですよ。それに

今は父上も一緒です。あの2人が揃っていれば

無敵です」


ニッコリと笑ったノアはこんな時でもどんな時

でも神々しい……。ありがたや〜。

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