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神殿様⑤


ユーリ様は少し考え込んでから静かにまた

話し出した。


「ディアの魂の事だが、両親の事件があっ

てお前の魂が透明になってしまったのだ。

それまで七色に光り輝いていたから絶対に

ポレット様の生まれ変わりだと思い見守って

いたのだが……」


「事件により私は心を閉ざしてしまったの

でしょうか?」


「それは分からないが事件が関係しているのは

少なからずあるだろうな。だから俺の元に置いて

七色に戻るのを待っていようと思ったのだが

レオンが譲らなくてな。ほらアイツの魔力暴走を

ディアが止めただろう?その時に何かあったと

思うのだが、覚えているかい?」


「全く記憶にございません」


「あははは!本当にお前、面白いぞ!俺とエドく

んだけの時は異世界人でいろ。いいな?」


「もう既に異世界人での性格で過ごしておいで

です。こちらの性格で言葉使いが違うだけでござ

います」


エドがスン顔で言った。


あれ?そう?私なりに『可愛いディア』を

演じてたんだけど。そのまんまだった?


「なるほどな!ヴィンセット家の溺愛が倍増した

のはそのせいか。この見目に異世界人のその性格

がアンバランス過ぎて逆に魅力が増しているから

な」


「え〜。そうなんですか〜?」


自分じゃ全然分かんない。

この世界の人のツボも分からない。


「そしてその異世界の喋り方だ。それは俺とエドく

んだけにしてくれよ。更にそれがくっ付くとこの

世界の者達を皆虜にしてしまうぞ。エドくんで証明

されているからな」


「あぁぁぁ!神殿様、こちらのお菓子などいかが

ですか?」


もう!エド、何?また突然に大きい声出して。

最後の方が聞き取れなかったじゃん。


「勿論です。2人の前でしかこの話し方はしな

いですけどそんなに変わってます?子供とか

平民の方とかもこんな話し方では?」


「何か、違うのだよ。それが異世界人だからな

のかポレット様の生まれ変わりだからなのかは

分からないがね」


ふ〜ん。そうなんだ。

ん?私、ポレットの生まれ変わり確定になっ

てる?それはいかんな!


「ユーリ様?私の前世は異世界人なのでポレット

さんではないですよ?」


「いや、絶対にポレット様の生まれ変わりだ。

これだけは譲れないね。身体的特徴も一致するし

魂の色、戦った時の七色の瞳、そしてその膨大な

魔力どれをとっても……」


「膨大な魔力ですと!?」


私は思わずアフロなおばちゃん全開で叫んだ。


「そうだが?最後にディアと会った時は魔力無し

だったから前世の記憶が戻ったと同時に魔力も出

てきたと思うぞ?しかしまだ覚醒はしていないから

ディアの体の中で溜まりまくっている。知らなかっ

たのか?あ!レオンも気がついてないから魔力測定

に連れて行ってないのか!!」


うぉぉーーい。そうだったんかーい!

ちょっとビックリで意識飛んだ。


「エドくん、それも君知ってたでしょう?魔法力が

強い奴は人の魔力も見えるだろう?残念ながら

ヴィンセット家の者達は魔力持ちの方だから見え

ないのだよね〜」


エドぉぉぉぉぉぉーーーー!!!

見えてたんかーーーーーい!

言ってくれよぉぉう。


「あ……はい。知っていましたがその……力の

量が尋常じゃなかったので様子を見ようと

思いまして……」


そうなの?それは心配してって事?


「そうだよな。エドくんだって驚いたんだよね。

こんな量、俺も見た事ないもん。だから

ポレット様なんだよな〜」


「そんな量なの……?」


「うん。凄いよ?俺とレオンだって中々凄いと

思ってたけどディアに比べたら無いのと同じ」


は?何それ。怖くない?どんだけの量なんだ?

うひょーーー。って思ってたらドンドン、ガンガン

とドアを叩く?殴る?ような音が響いた。


「あ〜時間切れかぁ。レオンにここでの会話が

聞こえないようこの部屋に魔法かけてたんだけど

それをブチ破ろうとしてるね。解いてあげないと

屋敷が壊れちゃうねぇ」


あ、それはホント解いてあげて下さいね。

レオンお父様本気出してますよ。


「あのう……この事はレオンお父様にはまだ内緒

でお願いしたいのですが……」


「うん。勿論。こちらもポレット様の生まれ変わり

だってハッキリ分かってからじゃないとレオンには

言えないよ。前世だのポレット様だの言ってもさ、

アイツは堅物だからね。はい、そうですかなんて

簡単に信じてくれる訳がない」


良かったぁ〜。レオンお父様のこと分かって

らっしゃる!


「暫くは3人だけの秘密って事で。あ!そうだ!

今度神殿においで。ポレット様についての文献

とか残っているからそれを読んだら記憶が戻る

かもよ?」


これ以上違う記憶が戻ったらえらい事になっちゃう

のでは……?


「神殿に行く事は旦那様がお許しにならないかと」


うん。行きたいけどエドの言う通りだ。


「はぁ〜。面倒くさい奴だな。あんなに可愛い

のに」


「可愛い……。もしかしてユーリ様はレオンお父様

を……その……」


「あ?違うよ!そっちの可愛いじゃなくて幼馴染で

学校の後輩だったから可愛がってるんだよ!勘違い

するなよ!俺は妻一筋だ」


そうでしたか。良かったよ。

ユーリ様は妻一筋。

ユーリ様情報ありがとよ。


「アイツはディアを俺に取られると思ってるんだろう

な。あんな完璧人間なのに自分に自信が無いんだ。

不思議だろう?周りから見たら全て持ってるように

思うのにな」


「私はねぇ、ずっとヴィンセット家に居座るつもり

ですけどねぇ〜」


あ!今のめちゃくちゃおばちゃんくさかった!

駄目だ!ユーリ様と話してるとアフロな

おばちゃんそのまんまになちゃう。


「あははは!おばちゃんくさっ!面白すぎるから

勘弁してくれよ」


ユーリ様が豪快に笑った。

人間おもいっきり笑うのは体に良いらしいですよ。

良かったですね。今日何回目?豪快に笑うのは。

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