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神殿様④


……いや、私の前世はアフロなおばちゃんこと

白梅裕子だから。

ポレットでは……ない……。

え?私ってポレットって名前だったけ?

いや、いや、いや。白梅裕子だった。うん。


「ディアが小さな頃から思ってはいたんだよね。

その髪の色や瞳の色がポレット様しか持ってい

ない色だし。3歳までは……変わった子だったし」


変わった子?3歳?確かに前に見た父様と母様の

夢の私は今の自分だった。

あれはきっと3歳未満。3歳までアフロなおば

ちゃんが、異世界の私がきちんとこの体の中に

いたのか?


「異世界だって?ディアは異世界人なのか?」


「え?は?エド!?エドがバラしたの?」


なんてこったぁ!私が一瞬考え事をしてる間に

エドめ!裏切りおって!


「違います……お嬢様。お嬢様の心の声が口から

漏れております」


「え?私、口に出して言ちゃってた?」


「あははは!ディア!最高だ!やはりエドくんも

色々知っているのだな。そうだと思っていたが

魂の色も知っていたから当然だな。それで?

お前は異世界人なのか?」


だからエドを選んで残したんだ。有り難い!


ユーリ様が楽しそうに近づいて来て私の隣に座った。

近くで見るとマジで美人さんだ。男性なのに中性的な

色気がありこれは男女問わず惚れてしまうのでは

ないか?あ、これがカリスマ性ってやつ?

そんな人に微笑まれて訊かれたら何でも言ちゃいま

すよねぇ〜。


「そうです。バレてしまったのなら仕方がないので

言います。ユーリ様、私の前世は異世界人の白梅裕子

といいます。だからポレットさんではないと思います」


「今日、いや、4歳以降初めて俺ときちんと話して

くれたな。お前は今の今まで中身の無い薄っぺらな

受け答えしかしてくれなかったからな」


ユーリ様は嬉しそうに微笑む。


「そ、それは大変申し訳ないです。前世の記憶が戻る

までの私は会話なんてまともにできてなかったです

よね?」


ユーリ様は私の頬をぱふりと両手で挟みじっと見ながら

言った。


「本当に3歳の頃のお前だ。俺が大好きだったあの頃の

ディアに戻ったのだな。そうか。前世は異世界人だった

のか。そしてその記憶があった……それなら納得だ」


ユーリ様は微笑みながら昔を思い出しているよう

だった。


「あの時はまだお前の両親も健在でな。両親の前で

だけ今の……異世界人のお前を出してたぞ。

俺は偶然にもお前が『ビール飲みてぇ』と独り言を言っ

ていた場面に遭遇したから……おかしな姪っ子だと知っ

てはいたが」


な、な、何ですと?そんなおばちゃん丸出しで?いや、

それはおばちゃん通り越してオヤジじゃないかい!?

父様と母様にそんなおばオジちっくな姿を見せていた

のか。最低な私……。少しは子供を演じろや。

ビール飲みたいって……。何かストレスになるような

事があったのか3歳児の私よ……。


ちなみにこちらの世界にもビールがある。ワインも

ウィスキーもある。アルコール類は前世の世界と

同じなのだ。


「いや、それがかえってあの2人には良かったみたいで

な。溺愛されてたぞ。俺も陰から見て笑っていたがな」


「え?また心の声出てました……?」


エドが笑いを堪えきれずに吹き出した。

最近は沢山笑うようになっておばちゃん嬉しいよ……。


「で、異世界では人生を全うできたのか?」


「全うと言うとちょっと違うですけど。多分ユーリ

叔父様よりちょっと……。ちょっとですよ?上の

年齢で人生が終わりました……」


「そうなのか。この世界では叔父と姪の関係では

あるが精神年齢が近いってことで友人ポジション

でこれからはどうだ?その方が楽しそうだ!」


ユーリ様が私の肩をバシバシ叩きながら豪快に

笑う。た、楽しそうでなによりです……。


「あのう……ユーリ叔父様は……」


「友人なんだからユーリって呼べよ」


あ、もう友人確定なんだね。


「呼び捨てなんてそれは無理」


「駄目なのか〜」


はい。駄目です。あなたはこの世界のツートップ

のお一人なんですよ。


「ではユーリ様で。ユーリ様は異世界とか信じる

のですか?そんな話、馬鹿げてるとか思わない

のでしょうか?私のいた異世界では馬鹿じゃ

ない?頭おかしよね、で終わりにされそうなん

ですけど……」


「この世界ではね、ありなんだよな。

だからポレット様の生まれ変わりもありな話でね」


そうか。魔法とか魔力とかのファンタジー世界だ

もんね。驚きはしないのね。


「は〜それでエドくんとだけの秘密だったわけか。

知られて頭おかしいって思われたらと不安だったん

だねぇ。エドくんも教えてあげればいいのに。

知られても大丈夫だって。あっ、そうか2人だけの

秘密にしたかったのか」


「お茶ぁぁーー!お茶のおかわりはいかがでしょう

か!?」


何よ!?エド!突然に大声で!ユーリ様の言葉の最後

の方聞こえんかったじゃん。

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