神殿様②
エドも従僕として復帰し今、ユーリ様を
お迎えするのに屋敷入り口のにて
お待ちしている状態。
レオンお父様はそんな事をしなくてもいい
と言ったけどそうもいかなくない?
だって神殿様だよ?
私の右横にはレオンお父様、左横にはローズ
お母様そして後ろにはエドとメアリー。
更に後ろにはメイドさん達だ。
男性使用人達は契約を守って私の前には姿を
現さない。
ちなみにルイお兄様はお仕事に行っていて
ノアは学校に行ってる。平日なんで。
「神殿様がご到着致しました」
メイド頭の声がしてドアが開く。
緊張するな……。
沢山の護衛と共に身長の高い男性が入って来た。
白地に金と銀の糸で太陽と月が刺繍されている
司祭服に身を包んでいるその男性は青みがかっ
た銀髪がキラキラと陽に反射していてとても
綺麗だ。瞳は宝石のサファイアの様なブルー。
美人といった表現がピッタリな顔で女性と間違い
そうなぐらい美しい。
そんなユーリ様と目が合ったけどフィっと顔を
逸らされた。
なぬ!?
「レオン!元気にしてたか?少し痩せたか?ん?
ほらお前やっぱり痩せてるぞ?」
そう大声で言いながらレオンお父様に勢いよく
抱きついた。
なぬ!?
「あまり心配かけるなよ〜。俺も痩せちまう
だろうが!あはは!」
レオンお父様をガッチリ。ホールドオン。
レオンお父様を大好き……てか、愛してる
オーラ全開なんですけど!?
何故にこんな溺愛されとるの?
おっどろきぃぃ……。
「ブロスト殿……お離し下さい」
レオンお父様が冷静に対処しとる。
温度差が……。
「いや、いや、いや。ユーリと呼べよ。俺と
お前の仲だろう?何回言っても呼んでくれんな!
お堅いがそこがお前の良いところでもあるがな!
あはは!」
笑顔全開のユーリ様……。
豪快な人だな……。
うん。レオンお父様を大好きでたまらないって
感じ?あっ、恋愛とかの好きじゃないよ?
何て言うのか……人間として大好き……みたいな?
……だと思いたい。
あひゃ!レオンお父様の肩から青い炎が出てき
ちゃってる。これヤバイやつね。
攻撃体勢に入ったよ。
「あぁ〜すまん、すまん。そう怒るなよ。
奥方もお変わりないかな?本日もお綺麗で」
ユーリ様はパッとレオンお父様を放してローズ
お母様の手を取り挨拶のキスをした。
おぅ。レオンお父様に対しての熱烈アピールとは
違い過ぎる。淡白ぅぅ。
ローズお母様もニコニコ対応している。
このニコニコ顔はとてつもなく怒っている証だ。
こめかみに青スジ浮き出てますよ……。
何だかちょっとだけカオス状態なヴィンセット家。
そしてユーリ様はゆっくりと私の前に立った。
私がサッとカーテシーをしようとすると
「そんな堅苦しい挨拶はしなくていいよ。それより
元気になって良かった。本当に心配したんだぞ。
ディアは無茶をするな〜。あっ、ディアではなかっ
たのかな?」
私の手を握りながら顔を近づけ周りには聞こえない
ような小さな声で囁いた。
え?何?今なんつった!?
『ディアではなかった』だと!?
私は息が止まった。
するとレオンお父様がユーリ様の手をバシッと叩き
落とした。ひっ!そんな無礼な事を!
「あははは!レオンは相変わらずだ。しかし姪っ子
の手ぐらい握らせてくれよ。俺だって夜も眠れない
ぐらい心配していたんだからな」
嘘だな。
「部屋に案内する」
無愛想に言ってレオンお父様は屋敷の奥へ歩いて
行った。それにユーリ様も続き護衛の人達も
大移動を始めた。
ユーリ様は……。そう思って私はエドをチラリと
見た。エドも小さく頷いた。
エドにもあの囁きが聞こえてた?
ヤバくない?どーするよ、エド。
いや、エドに助けを求めてもな。
自分でどうにかしないとな。
既にお茶の準備がされていていい香りがした。
ユーリ様にソファーを勧めて座ってもらった。
そしてレオンお父様もユーリ様の正面に座り
自分の横を目で見て私に座れと促す。
よ、よ、良かったぁぁぁ!
膝ポンポンされなくて。流石にこの場での膝上
はキツイものがある。
ホッとしながら私は座った。