表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/318

side エドアルド④


メアリーは何を言っているんだ?

理解できない。

そんな事があるわけ無いと思っていた矢先

ルイに釘を刺された。

娘と2人きりになるなと。


は?馬鹿なのか?2人きりになって俺が何か

するとでも?

そりゃ最近の娘は大らかな性格が全面に出て

太陽の様に眩しく暖かいオーラがある。

表情もコロコロ変わって見ていて飽きない。

それに前よりも何故か俺の保護本能を刺激するの

か守ってやりたくなる。


が、ルイが心配する様な事にはなるかっての。

この俺がそんな風になるわけがない。

しかし面倒な事になるのは御免だ。

一応謝っておくとするか。

この日を境に今後2人だけで異世界の話や

情報交換は出来なくなった。

何故かガックリな気持ちになっているのは

異世界の話が面白かったからだろう。


毎年娘は同じ時期に発作を起こす。

今年も例外なく発作は起こった。

いつもなら娘の様子が落ち着くと部屋から出てき

たノアが今回は部屋には誰も入れるなと言って

娘と籠った。

あ?娘が落ち着いたのなら出て来いや。

何故一晩中一緒に居る?

俺はイライラが収まらなかった。

何だ?このイライラは。


次の日、娘は発作の事を覚えていた。毎年忘れて

しまっているのにどういう事だ?

娘の前世の記憶が戻ってから少しづつ何かが動き

出しているような気がする。

案外娘が言っていた何かをやらねばならない

のかもってのは間違いではないのかもしれない。


娘が神殿様の姪だったと知ったのは従僕になって

直ぐだった。

おいおい。力の強い子供を洗脳してまで自分の周りに

置きたがる最低ヤローと親戚かよ。

と、思いつつ旦那様にメアリーと共について来いと

言われ6歳の時に初めて本物を見た。

1ヶ月に1回娘と会っているようだ。


……イメージしていた人物と全然違った。

何だコイツ……。当たり前だが魔法力は底なしだ。

恐怖すら覚えるぐらいの魔法力。流石と言える。

しかし性格が……。

旦那様もこれは大変だ。

だが、コイツが指示を出して子供を洗脳していると

は思えない。魔法塔が勝手にやってる事なのか?

そうだとしたらいつか魔法塔の事を暴露してやろ

う。あんな所は無くなった方がいい。


娘に前世の記憶が戻ってから神殿様と会う機会が

なかった。神殿様が忙しかったらしい。

やっと会えると神殿様から連絡が来た。

今回一緒について行くのが旦那様ではなくルイに

なった。メアリーも居ない。

何となくの違和感を感じつつも馬車に乗る。


馬車の中ではルイの俺への牽制が始まった。

そんな事しなくてもお前の大事な大事な宝物に

に手なんか出さねーから。


腰触ってんじゃねーよ。

匂い嗅ぐんじゃねーよ。

顔をくっつけるんじゃねーーーよ!

お前は変態か!?

あ?何でこんなに俺は怒ってるんだ?

意味分かんねー。


教会で神殿様を待っていると娘が突然に

走り出した。俺は素早く後を追いかける。

教会前の広場まで来て娘は立ち止まった。


声が聞こえたと。自分を呼ぶ声がしたと

言ったがそんな声は聞こえない。

おかしいと思った瞬間に俺達の周りに

シールドが張られた。


見るからにヤバそうな奴らが俺達の前に

歩いて来た。しかし全員魔力無しだ。

楽勝だな。そう思っていると突然変な玉を

地面に投げつけた奴がいた。

何だ!?それは!?


緑の煙がシールド内に充満する。

息が苦しい……。吐き気がする……。

目眩がしたその時平手打ちが飛んできた。

俺は吹っ飛ばされ立ち上がる事が出来なく

なった。


娘が泣きそうな顔で俺に走り寄る。

そんな顔は初めて見たな……。

娘は一瞬だけ目を閉じた。そして再び目を開けた

時、表情が一変していた。

これは誰だ?

娘であって娘ではない。


俺に向かって何か言っているがもう俺の耳は

途切れ途切れにしか聞こえない。

だがこの顔から推測するに『大丈夫だ』とか

そんな事を言っているような気がする。

とりあえず頷いた……。


もう殆ど聞こえない俺耳が『シャテイ』と

いう言葉を拾った。何だ?それは?

今『私のシャテイ』と言ったのか?

俺が娘の何だというのか。

異世界語……か。

その直後意識がなくなった。


ふわっと意識が戻る。

娘が薄っすらと見える。相手は剣を抜いて

立っているように見えるがなんせ視界が

ボヤけてハッキリと見えない。

だが危険な事だけは分かる。

娘も何か手に持っているな。あれに俺の

魔力を……。


あぁぁ。なんと綺麗な戦い方をするのだろう。

娘は訓練など受けていないのに……。

女神の様に輝いて美しい。

そして強い……。


この時俺はイライラの答えが分かった。

『嫉妬』だ。娘に近づく男、触る男に嫉妬して

いたのだ。

俺は娘……いや、クラウディアに惚れている。

はっきりと分かった。好きなんだと。


もしこの命がここで終わらずに続くのなら

一生クラウディアを守っていこう。

一生離れない。絶対に。

一生離れてなんかやるものか……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ