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Side エドアルド


俺は『魔法塔』で育った。赤ん坊の時から

魔法力が強かったのだろう。親が俺を売り

やがった。だから親の顔なんて知らない。

知りたくもねぇけどな。

ゆくゆくは神殿様の付き人になるか神殿で

働くかだったらしい。


『魔法塔』は魔力ではなく魔法力が使える

子供達を集め育て神殿に渡す役目を担って

いる。


魔力は主に『闘う』力がメインだが魔法力は

呪文により色々な魔法器具を作り出したり、

人に呪いをかけたり、魔毒や媚薬など作れたり

する。俺はその力に加え『闘う』方の力も少し

あり魔力と魔法力が混ざり合っているので

珍しいらしい。3歳の時にそれを知った俺は

魔法塔の奴らにバレないよう魔法力しか見せ

ない様に過ごしていた。バレるとヤバイ所に

売られる可能性があるからだ。


俺は脳の発達が異常に早く3歳にして大人と

同じ考え方が出来た。

たまに魔法力が強い子にそういった現象が

起こると言われているとかいないとか。


魔法塔で育てられる子供達は物心がつく頃

には神殿様を神として崇めるよう洗脳が完了

している。

あー。胸くそ悪い。洗脳なんてするん

じゃねーよ。

お前らは何様なんだって話だ。

しかし俺は他の馬鹿な奴らとは違い洗脳なん

てされなかった。されてたまるかっての。

ここに居る大人達はいつも薄ら笑いを浮かべ

やがって気持ちが悪い。裏で色々やってる奴も

いて吐き気がする。

いつかここを抜け出してやる。そう思って

生きてきた。


俺が5歳になった頃にレオン・ヴィンセット・

ノワールが魔法塔にやって来た。子供達を

広間に集めてザッと一通り顔を見てから俺の

前に立ち止まった。

俺の力が分かったんだろうな。

氷の様な冷たい瞳で俺を見下ろし言った。


「お前、私の娘に命をかけろ」


その瞳は誰も逆らえない威圧感があった。

そして魂の色は真っ赤だった。いや、

魂は炎の様に燃えていた。そのせいな

のか彼の魔力は凄いとか強いとか言葉では

言い表せない程魅力的だった。

俺は彼の魂と魔力に惚れた。


そのままヴィンセット家に連れて行かれ

娘の従僕として相応しくなるように色々

と叩き込まれた。彼の事は『旦那様』と

呼び彼の妻の事は『奥様』と呼べと言われ

た。


そして娘に使える事になるから同じ性別の

方が学べるだろと奥様に付いている従僕に

仕事を習う事になった。

その合間に魔法力の向上と魔力の強化など

の訓練もさせられ俺は強くなっていった。


俺は旦那様に惚れ込んだのであって娘なんか

どうでもよかった。いつか旦那様の従僕に

なろうと決めていた。


広い屋敷だからなのかそれとも旦那様がそう

していたのか分からないが見習い期間に息子

2人に会う事はなかった。勿論娘にもだ。


半年ほど経った頃だろうか。娘付きのメイド

だというメアリーと引きあわされた。

これから2人で娘付きになるのだから話して

みたかった言われた。

瞬間分かった。


「お前、人間じゃねーな。10歳だ?笑わせ

るな。どう見ても200歳は超えてるだろうが」


「……だからどうした?私は隠してもいない

が?しかし目上の者にその口の利き方はどう

かと思うぞ?それにお前も5歳とは思えん

がな」


「安心しろ。お前にだけだこの話し方は」


「そうか……。猫を被ることも心得ているのか。

ふふふ。流石腹黒だな」


メアリーと魔力でやり合った結果。

俺は大負けした。その瞬間、上下関係が出来上

った。いつかアイツを負かせる。絶対にだ。


従僕見習いをしながら過ごしているとよく

娘が倒れた、殆ど食わない、熱を出して

寝込んでるといった話を聞く。

そんな体の弱い奴は俺が従僕になる前に

死ぬんじゃねーか?


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