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Side 依頼人


馬車が教会に着いたか。

降りてきた1人目は従僕。従僕のくせに

中々の魔力量だ。しかも私と同じ『魔法士』

の魔力か……。

レオンが溺愛している娘に付ける従僕だ

けはあるな。


「ほう……。今回は自分の代わりに長男を

行かせたか」


次に馬車から出てきたのはヴィンセット家の

長男ルイ。

私も数えるほどしか会った事がないがレオンと

同じ『フォルトマスター』の称号を得る事が

決まっていると聞いた。

なるほど、レオンほど底なしの魔力というわけで

はないが中々だな。


最後にルイの手を取って出てきた少女が

『クラウディア』か。

ふむ。私の位置からは後ろ姿しか見えないが

細くて小さい。殴られれば直ぐに死んでしまい

そうな少女だ。そんな少女がレオンとユーリを

虜にしてやまない存在とはな……。


今日はあの少女を連れ去り少しだけ騒がせる。

レオンとユーリの反応が楽しみだ。

護衛が30人か。アイツらが護衛に手こずると面倒な

事になりそうだ。仕方がない。護衛だけ排除しとく

か。しかし大量殺人は面倒くさい。

とりあえず護衛は眠らせて森に放置する事にし

よう。


少女が教会から出て来るまで生い茂っている木の

上を浮遊する。『姿隠し』の魔法を全身に纏って

いるから私の姿は誰にも見えない。

どの位置が余興の特等席か確認していると少女と

従僕が広場に姿を現した。


「従僕もついて来たか。まあいいだろう。こちら

にもウイルス玉を渡してあるからな」


さて高みの見物といこうじゃないか。

少女の姿を正面から初めて見たが……。

なんと……。確かにソフィアの面影もあるが

彼女に似ているというよりも……。

髪の毛の色も瞳の色もそして顔もあの女神の

肖像画とそっくりではないか……。

まだ幼いのに男を惑わすと噂は聞いていたが

なるほど……。これほどとは……。

ユーリが溺愛している理由はソフィアの忘れ形

見だという事以外にもあったのだな。

面白い……。これは面白いぞ。


しかし予めアイツらに『逆魅了』をかけといて

正解だったようだ。

あのように美味そうな果実を目の前にして

アイツらが我慢など出来るわけがないのだ。

私はそのようなモノを見て楽しむ趣味は無い。


「!?」


魔力が……。魔力無しと聞いていたが……。

その逆で恐ろしいほどの魔力量だ。

しかし覚醒してはいない。

あれだけの量があれば10歳前後に覚醒していそう

なものなのだが……。

これはきっとユーリは知っているな。

あいつに見えていないわけがない。

でもレオンには教えていないのか。

……あの従僕にも見えていると思うがな。


ほう、あれだけの魔力持ちなのに感染せずか。

これはもしかしてもしかするかも……だ。


あの娘、力も使えぬのにアイツらにかかって

いくとは死ぬのが怖くはないのか?

それとも馬鹿なのか?

殺すなとは言っておいたがアレでは殺されるぞ?

ユーリとレオンが魔力暴走でもしてあわよくば

死んでくれると楽しいと思っただけのちょっと

したお遊びなのだが……。

その引き金にあの少女は十分になる。ただの捨

て駒。そう思っていたのに……。


……何故だ!?何故あのように戦える?

10年も屋敷に隠され溺愛されちやほや育て

られただけの人形ではないのか!?


あの戦い方は……。

基本など無視した完全なる自己流。

が、しかし、しっかりと戦いのツボは押さえ

ている。まるで女神が舞っているかのように

戦う姿はとても神々しい……。

そして……。戦っている時の瞳が……。

本物なのか?本物なのだろうか?

俄然興味が沸いた。

欲しい……。あの少女が欲しくなった。

なんとしてでも手に入れたい。

ソフィアの時は失敗したが今回は必ず……。

私は細く微笑んだ。

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