教会にて⑧
「姉様!」
ノアの声がする。
薄っすら目が覚めると私の手を握って
いるノアと目が合った。
「ん……ノア?私……」
「姉様良かった……。本当に……。5日も
意識が無かったのです……」
ノアの声が震えている。
私の手を握る両手も震えていた。
「私、生きてるのね……心配かけてごめんな
さい……」
ノアは顔を横にブンブン振った。
目が潤んでいる。
「姉様は酷い状態で……あんな酷い事を姉様
にした奴ら殺してもまだ足りない……」
あっ、やっぱり?ルイお兄様が殺っちゃった?
後でゆっくり聞くか……。
「また私ノアにお世話かけてしまったのね。
全部治してくれたのでしょう?本当に
ありがとう……」
体に怠さはあるもののあれだけ痛かったのに
今は一切痛みが無い。
ノアに足向けて寝れないよ……。
「本当なら私、死んでいたでしょう?それぐら
い酷い状態でしたものね……」
「……姉様が死んでしまったら……この世界から
居なくなってしまったらと考えて……凄く怖く
て、怖くて……でもそうなってしまったのなら
僕も迷わず後を追いますけど」
おっと!最後だけハッキリ、キッパリ言い切っ
た。迷いなしかーい。
落ち落ち死んでられんな。ノアまで道連れにし
てしまうとこだった。
「本当に本当にありがとう……ノア」
もう一度心からお礼を言う。
まだ体を起こすことが出来ない……。
体力が無いんだな。
こんなんじゃダメだな〜と思って宙を見ている
とノアが言った。
「お礼なんて!僕の方が感謝しているのです。
姉様、生きていてくれてありがとうと……と」
ええ子や〜。おばちゃん感動した。
この子のお嫁さんになる女性はきっと幸せに
なるな。うん。小姑にならぬよう気をつけなけ
れば。
はっ!思い出した!
「エドは?エドは大丈夫なのかしら!?」
今まで忘れててごめんよ!
エドは生きてる?エドの斑点どうなった?
「エドは兄上の血液から作ったワクチンを打ったの
で大丈夫ですよ。意識もあります。まだ安静にして
いないとダメですけど」
ルイお兄様はあの戦いでウイルスを吸い込んだけど
体内で素早く抗体を作り出しウイルスを撃退した
らしい。その血液でワクチンを作り出したみたい
だけども……。
え?ハイスペックな人はそんな事まで出来ちゃうの?
それはもう……人間じゃなくね?
ワクチンが出来るのも早くね?
流石、魔法の国ってかファンタジー……。
「あのウイルスは今までに存在していなかったモノ
で魔力で作り出したみたいなのです。もしも流行っ
てしまうと大変な事になるので魔力あり、無し関係
なく国民全員にワクチンを無料で打つことになり
ました」
それは良い事だ。
まだいっぱいノアに尋ねたい事があったのだけど
ドアの向こうからバタバタと数人の足音が聞こえ
てきた。
あっ!いつもこの部屋に居るはずのメアリーが
居ない。私が目を覚ました事をレオンお父様達に
知らせに走ったんだね。
激しくドアが開きレオンお父様、ローズお母様、
ルイお兄様の順番になだれ込んできた。
皆さん元気で良い事だ……。