教会にて⑦
「あぁぁ……なんてこと……ディア……
こんな酷い……」
ルイお兄様は一度抱きかかえた私をそっと
体から離し頭の天辺から足の先まで見て
言葉を失う。
「私がもっと早く来ていれば……私の……
私のせいで……」
自分で分かる範囲で言えば目が腫れてるのと
鼻が折れて変な方向に曲がってることと
ワンピースぼろぼろで……あっ!忘れちゃ
いけない!毛根死んだ!禿げた!ってとこかな?
でもルイお兄様の様子からしてもっと私の姿は
酷い事になっちゃってるんだろうな……。
「いい……え。ルイお兄様……げぶ……は……なに
……げぼっ……も悪くはない……ですわ」
爽やかに言おうと思っのに臓器のどれかが
やっぱりやられてたのね。
吐血挟みながらの私の気持ち伝わった?
てか、もう1人の私は居なくなったんかい?
上から目線の言葉が出なくて良かった!
ルイお兄様は優しく私を抱きしめてくれた。
私ははっとして聞いた。
「ウ、ウ……ウイルスは?だ……げぼっ……大丈夫
でし……たの?」
チッ!話す度に吐血?もう!ルイお兄様が心配
しちゃうじゃん!
「ああ。大丈夫だよ。だからもう何も心配はない。
ディア、もう何も話さないで……」
ルイお兄様は言葉を詰まらせたまま私をまた抱きか
かえた。その拍子に斜め後ろに倒れていたエドを
発見!ルイお兄様が張ったであろうシールドに
囲まれている。
流石だ!仕事が早い!これでもしもエドがマッチョ
なおっさんに攻撃されても大丈夫だ。
ふぅ〜と安心しているとルイお兄様の背後から
マッチョなおっさん2人が襲いかかってきた。
抱きかかえられている私はルイお兄様の肩越しに
その2人が目に入った。
「……今はディアと話している」
今まで聞いたことのない冷たい声がしたと思ったら
ひゅっと風が吹いてマッチョなおっさん2人の首が
飛んだ。
ゴロゴロと地面を転がる。
ひぇぇぇ〜!風魔力?カマイタチみたになってる
のかな?バッチリ見ちゃったよ……。
これこそ本当の秒殺ってやつだ。
ホラー映画だわ……。
「ディア、頑張ったね。痛かったよね。苦しかっ
ただろうに……」
何事も無かったようにまた私に話しかける。
「エ、エ……ドを守らないと……と思い……ました
の。がん……ばり……げぼぉぉぉぉー!」
今まで脳から分泌されていたであろうアドレナ
リンが切れた?突然に体中が痛みだして吐血量
も半端ない……。
自分でもビックリさ……。ルイお兄様の素敵な服に
大量吐血しちゃったし……。
ごめんなさい……。
「そうか……。エドを守ったんだね。偉かった。
分かったから少しお休み。安心して。もう絶対
にお前を離さないから。私のディア……」
そう言って私を片手で抱き上げ魔力を使って落ち
ないように安定させる。いつものいい香りと安心
感からなのかそれとも体に限界がきたのか意識が
遠のく。
体が激痛の中でルイお兄様の戦う姿見てみたかっ
たなーとかルイお兄様のウイルスはどーなった
の?とか私、死ぬんじゃね?とか色々考えていた
けど
「お前達……普通に死ねると思うなよ。生地獄
ってしってるか?」
と、とんでもなく怖い声が聞こえてきたような
気がするってとこで意識が無くなった。