教会にて⑥
あっ、これ本気で殺すモードだな。半殺しよ
さようなら〜。
依頼人に怒られないの?
マッチョなおっさんの剣が鋭く光る。
私は武器になる物を何も持っていない。
「いや〜……流石良いとこのガキだ。何でも上
からでイライラするわ。それにしぶとくて面倒
くせ〜。これでバサっといとくわ」
「俺もイラッとしたから斬るわ」
「あ〜俺も」
と、どんどん皆んな剣を抜き始めた。
だからあれは私の意思ではなくてですね……。
もうそんな事はどーでも良いわ!今は何か武器に
なる物を探せ!
キョロキョロしてみたけど木の枝しか落ちてない
じゃん!!仕方ない……。1番長くて太い枝を拾い
上げた。
けど、こんなん直ぐにバキって折られてさような
らだよね。何も無いよりマシ?無いのと一緒?
ブツブツ独り言を言っていたら突然枝が白く光り
だした。それはよ〜く見ないと分からないぐらい
の光り方をしていた。
その証拠にマッチョなおっさん達はニヤニヤな
がら立っていて誰1人気がついていない。
この光は何処から?
少し離れてしまっているエドをちらりと見た。
するとエドの手が枝と同じ光りを小さく放って
いる。彼がこの枝に魔力を入れてくれているのだ。
マッチョなおっさん達は最初に私を殺してから
エドを始末する予定なのかそれともウイルスで
そのうち死ぬと思っているのか誰もエドを見よう
としないから彼の手が光ってる事など知りもし
ない。良かった!
苦しそうなエドと目が合う。
私は光っている枝をグッと握りしめてエドに頷
いた。
「は〜?そんな枝で何が出来る?」
「救いようの無いアホだな」
「かっかっかっ」
私を罵倒しながらマッチョなおっさん達が斬り
かかってきた。
最初に走ってきた4人にしゃがみ込んで一気に
膝下を狙い枝を払う。エドの魔力のおかげで4人
が横に吹っ飛んだ。足を折ったので立つ事は無理
だろう。
私は飛び上がり空中でクルクル回りながら次に
斬りかかってきた3人の首に枝を打ち込む。
3人とも白目をむいて倒れた。
着地して次!と思ったとたん枝の光りが消えた。
え?エド?と振り返るともう彼は虫の息だった。
ヤバイ!エドが死んでしまう!
焦った私は手から枝を落としてしまった。
瞬間、マッチョなおっさん①が
「かっかっかっ」
と、笑いながら剣を私に振り落とした。
『南無三!』
あ〜最後に思った言葉がコレか……。
何処までもおばちゃんだわ……。
14歳の可愛い女子が南無三なんて言わない
よね。多分……。分からんけど。
そんな事を思っていたらバシュと大きな音が
して突然シールドが解除された。
は〜?と、きょとんとしているとストンと
安心、安全、良い香りのする胸の中へ抱え
られていた。
顔を上げるとルイお兄様の真っ青な顔がそこ
にあった。