題名のない物語
私はその日からこの物語に夢中になった。
題名も作者名も記載されていない不思議な
本だったけど、ぐいぐいとその内容に惹き
込まれたのだ。
主人公はクラウディア・ヴィンセット
14歳。愛称は「ディア」だ。
バターブロンドの柔らかそうな髪に
キラキラした金色の瞳。陶器のような真っ白
いスベスベのお肌。
折れそうなほど華奢な体にお人形のような
愛くるしい顔。
それに加えてどんな男性でも魅了する色気
があった。この色気は幼い頃からすでにあった
ようだけど……。
色気の「い」の字も無い私からしたら羨まし
すぎるんですが。くっ……。
そして更にクラウディアは頭も良く完璧な
主人公なのだよ。流石は物語だ。
こんな女性がいたら会ってみたいもんだ。
このクラウディアが色々なイケメン達と
次々に起こる事件を一緒に解決していく
話なんだけどファンタジーなので魔法や
魔力は普通に存在していてドラゴンや魔獣
やら、なんやらかんやらが、わらわら出て
きちゃう。
お決まりのパターンで出会うイケメン達は
皆クラウディアにデレデレになる展開。
デレデレになるもんだから甘いシーンも
ありありで。しかしR18ではない。
甘々だけど可愛くそのシーンは過ぎてくわけ
だよ。
クラウディアはお色気ムンムンだが清純派な
のだ。かなりガッツリ清純派。はい!ここ
重要ですよ。
どの章もイケメンがデレデレになるのはわかって
いるのだがおもしろい。全然飽きないの。
そんなクラウディアだけど彼女は悲しい過去を
背負っているのだ。
10年前に両親が何者かによって誘拐され父親の
遺体は発見されているけど酷い状態。
拷問の痕跡もあって、うーーーってなる。
母親はいまだに見つかっていない。
父親の兄であるレオン・ヴィンセット・ノアール
がクラウディアを引き取っている。
もちろんレオンには美人な妻がいらっしゃる。
ヴィンセット夫婦には2人の息子がいて
クラウディアとは従兄弟になる。
兄のルイ17歳と弟のノア13歳だ。
この2人も物語の第1章からすでに
クラウディアにメロメロだ。
確かに幼い頃から一緒に育ってクラウディア
のお色気ムンムン攻撃にあっていたらそうなって
も仕方ないわ。デレデレにもなるわ。うん。
それでこそ健全な男子だよね。良き良き。
しかしこの物語、第532章まであるんだけど!?
どうした?作者に何があった?
よくこんなにネタがあったなぁ〜って。
作者あっぱれだよ。
完結してるのか?532章をチラ読みしたい衝動に
駆られるけどそこはグッと我慢よね。
頑張って読み進めよう。
毎日晩酌しながらページをめくる。
そんな毎日が続いてたんだけど……。
その日も晩酌の用意をする為、仕事帰りにいつも
のコンビニへ寄った。
どのビールにしようか悩んでいたら突然に目眩が
して倒れ込んでしまった。そしてこれまでの人生で
経験した事がない頭痛が……。
あっ!そういえば人間ドックを受けた病院から
再検査の通知が来てたっけ。
確か脳だったような?
そう思った途端に目の前が暗くなった。