教会にて
そうこうしているうちに教会に到着した。
鬱蒼とした森の中にポツンと建っている
教会。結構年季入ってるね。うん。
ちょっとホラーぽいよ……。
外壁には蔦がびっしりと絡みついていて
木でできた重厚な扉の上には大きな
ステンドグラスの窓がある。そこに太陽
の光りが当たってキラキラと眩しい。
屋根の上には2本の剣が交差して立って
いた。前世では十字架が立っているのを
よく見たけどこの国では剣なのだ。
この国が信仰している神様は『金色の女神』
だ。約1000年前にアーサー王と聖女様
そして聖騎士様と一緒に魔王討伐に行った
女神様なのだ。
1000年も前のお話なので今では伝説的な
感じで伝わっている。
女神様は魔力、剣術、など何でも強かった
そうでその女神様が愛用していた剣が今は
教会のシンボルとなって屋根の上に立って
いる。
ホラーな教会を見上げながら
「ふぇぇ〜」
と思わず言ってしまった私を隣に立っていた
エドが見てふふと小声で笑った。
『何笑ってんの?』
『古くて怖いって思っていませんか?』
『何で分かったの?』
『お嬢様の事なら何でも分かりますよ』
ルイお兄様にバレないようにエドと小声で話す。
何でも分かるって何よ?私って顔に出やすい?
『お化けなどは出ませんのでご安心下さい』
ニッコリと私に向かって笑うエドからは12歳
と思えないぐらいの色気が飛びまくっている。
ひっ!もしや私が男の色気に弱い事を知って
いる……!?
『お化けって……。そんなの怖くなんてない
よぅ?』
エドの色気に不本意にもドキドキしながら
答える。しかしお化けってさー。
最近エドって私を子供扱いしてるような気
がする。
むぅーーー。と、頬をぷくっと膨らませて
いるとエドが人差し指で突っついてきた。
はぁぁぁ!?
なんこれ!?バカップルみたいじゃん。
これ以上するとルイお兄様にバレるので
とりあえずエドをひと睨みして終わらせる。
エドはニコニコして楽しそうだな……。
この国にバカップル概念は無いのか?
ルイお兄様が護衛騎士様達に今、私達が立
っている教会前広場で待機するようにと
伝達する。
私達3人は教会の中に入った。
すると1人の修道女が立っていた。
「お待ちしておりました」
優しく微笑んだ。
うん。優しい……。でも何でか鳥肌が立つ
のは何故?教会の中寒い?
修道女は奥の部屋へと私達を案内してくれた。
そこでユーリ様は少し遅れると連絡があった
と伝えられた。
3人でソファーに座りユーリ様を待つ事に
なり、どうぞと修道女がお茶を淹れてくれる。
お茶を差し出す修道女の顔をチラッと見た。
ゾワっとまた鳥肌が立つ。
「お嬢様?何かございましたか?」
爽やかに微笑む修道女。
「い、いいえ。お茶頂きますわ……」
カップを持つ手が震え出した。
カチカチと部屋の中に響く。
「ディア?どうしたの?具合悪くなったの?」
ルイお兄様が心配そうな顔で聞いてきた。
「お嬢様?大丈夫ですか?」
エドも心配そうだ。
「え……と……」
この感じ、どう2人に伝えればいいのか
迷っていたその時。
「ディア……僕の……可愛い……天使……」
その声が聞こえてきたのだった。