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悪夢⑤


私は8歳の頃から毎年この時期になると昨夜

のような発作を起こしていたようだ。

そんな小さな頃からあの怖ぇぇ夢を見ていた

なんて可哀想な私……。


しかし次の日になると何も覚えていなかった

らしい。そりゃ自分が食べられる夢、しかも

かなりリアルだし幼心に蓋しちゃうよね……。

なので家族はあの怖ぇぇ夢の内容は知らない。

勿論、今回も言うつもりはないので知らない

ままだ。


いつも夢でうなされて発作を起こすから

変な夢を見ているのだろうと予測はしている

のだろうけど……。


そんなんで覚えていないのなら無理に思い出さ

せる事もないだろうと家族や使用人達はあえて

その事には触れないでいてくれた。


最初の頃は発作が起きるとレオンお父様

が落ち着くまで一緒に居てくれていたそう

でノアの光魔法が覚醒してからは彼が自ら

自分が癒すと言ってくれたようだ。


毎年、発作が起こる時期になるとそれに

備えてノアが隣の部屋で待機するように

なったのだとか。


昨年まではベットサイドに椅子を持ち込ん

で一晩中手を握り光魔法をかけてくれてい

たみたいなんだけど……。

これはノア本人からの話ではなく毎年夜中に

ヴィンセット夫婦はそっと部屋まで私達2人の

様子を見に行っていたらしい。

レオンお父様の猛反対もあったから安心させる

為にローズお母様が連れて行っていたみたい。


なのに何故、昨夜は一緒にベットの中だっ

たのだ?

私が気がついた時には既に一緒に寝ていて

ガッツリとホールドオン状態だったぞ!?

……待って、待ってぇぇ〜!昨夜も夫婦揃って

様子見に来たんじゃ……。

レオンお父様大丈夫だったの!?

今朝のノアは無事だったの!?

青くなった私の顔を見てローズお母様は笑い

ながら言った。


「昨夜はねぇ……何故か予感がして私だけ先に

様子見に行ってしまったのよ。そしたら一緒に

寝てるので驚いたわ〜。2人とも天使みたいな

寝顔で可愛かったわよ!直ぐに戻ってお父様

に今年も大丈夫よって伝えたわ。だからお父様

は何も見てないから安心して。なんで先に様子

を見に行ったのだ!って怒られちゃったけど」


凄いぞ!女の勘ってやつ?

あなたはノアの命の恩人だ!


今回は昨夜の発作を覚えていたからと言って

ローズお母様が全て教えてくれた。

今年からはもう忘れる事はないだろうと思う。


昨日の朝にルイお兄様がヒソヒソしていたのは

私の発作についてだった。自分が居ない間に

発作が起こったら頼むと。

ルイお兄様やヴィンセット家の皆んなはホント

私を気にかけてくれていて感謝だよ。

ありがとう。


「ふふふ。今朝ノアが嬉しそうな顔をしてディア

にご褒美のキスをもらったって言っていたのだけ

れどそうなのかしら?あ、それも私にだけ教えて

くれたのよ?だから心配要らないわ」


微笑みながらローズお母様が聞いてきた。

流石にノアも命の危険は察知するのね。

良かった。迂闊にレオンお父様に話してなく

て。しかしレオンお父様ってどんだけ息子の命

狙うんだよ……。


で、キスの件だが……。

部屋の中に居たメアリーはニコニコしている。

エドは冷めた目で私を見ている。


違うからぁぁぁーー!

あれは事故だからぁぁぁーー!

決して故意ではないからぁぁぁーー!

と、叫びたいところだがここは堪えて。


「ち、違いますわ!あれは……その……

手がフニャってなってしまって……ベットが

柔らかくて……」


無駄なような気もするけど一応弁解。

そんな慌てている私をほんわかと優しい

微笑みでローズお母様は見ていた。

なんか勘違いしてないかい?


「分かっているわよ。あなたのタイプは色気

がこう……モンモンと出ている男性ですもの

ね!」


色気モンモンって……。誰だよそいつ……。


まだ休んでいなさいとローズお母様が部屋から

出て行ってエドもメアリーも下がっていった。


静かになった部屋に1人になると昨晩の悪夢を

思い出してしまう。

あんなリアルな夢、初めて見た。

また薄っすらと額に汗が出る。


銀の瞳の美青年。


キルア様と出会った時に言った幼い私の

言葉。


『銀色の瞳を持つ人を退治しないといけない

の。私が』


その人なのだろうか?あの美青年は実在するの

か?体が震える。あの美青年の迫力と圧倒的な

恐怖を思い出し私は自分の体を両手でギュッ

と抱きしめた。


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