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初めてのお出掛け⑤


「その『山猿』も本当に腹立しいのです!」


「あら?私、自分でも納得していますわよ?

『山猿』私にピッタリではないかしら?あんな

に走り回って木に登ったりしていたのだもの」


「こんなに美しいのに!誰が『山猿』なんです

か!」


ノアがグッと握り拳を胸の前で作ると馬車が大き

く揺れた。


「ノア様、落ち着いて下さい。ほら、ほら、大好

きなクラウディア様が困ってしまいますよ?」


ジョゼフがノアの耳元で囁くと馬車の揺れが止

まった。へ?あれってノアの魔力で揺れてたの?

流石ジョゼフはノアの扱いも慣れたものだ。


「あ、でもねノア、私もだけれどレオンお父様もそ

の噂は気にしていらっしゃらないみたいですのよ?」


前にルイお兄様からその噂が街中駆け巡っている

と聞いた時に私はヴィンセット家の顔に泥をぬっ

てしまったと焦り急いでレオンお父様に謝りに

行ったのだ。するとレオンお父様は


「ああ、あの噂か?ディアの耳にも入ってしまっ

たか。傷ついてしまっただろうか?噂を流した奴

らは私が……」


私が……何?そんなとこで切らないで!

レオンお父様!続きをどうぞ!はい!続き!


「ルイから聞いたのか?」


うぉぉー!話題が変わった!

噂を流した人に何したのーー!ねぇ!

殺してないよね?


「はい……。ルイお兄様からお聞きしましたわ。

でも私、気にしてなんていません。それよりも

ヴィンセット家の娘が『山猿』だなんて噂が

たってしまって本当に申し訳ないと思っており

ます」


私は頭を下げた。

そんな私をレオンお父様は優しくギュッと抱きし

めてくれた。


「そんなことはどうでも良いのだ。ディアが傷つ

いていなければ何も問題はない。ヴィンセット家

としてはディアへの見合いの手紙が大幅に少なく

なって万々歳だ」


大人の色気ムンムンのレオンお父様の微笑み。

やっぱり秒で死ねる。


そんな話をノアにした。

あ、秒で死ねるは言ってないよ?


「まぁ……姉様のお見合いの話が殆ど来なく

なったのは良かったですけど……」


うん。お見合いする気は全くないけどお誘い

の手紙が来なくなった、話が来なくなったって

喜ばれるのも複雑だ。これは乙女心というやつ

なのか?


「で、でー、話は元に戻しますが騎士団ですよ!

騎士団!僕が調べただけでもあの場に居た殆ど

全員が姉様に惚れてます!」


う、う、嘘だぁぁぁーーー!

だってあのパーティーではレオンお父様かルイ

お兄様が隣にべったりでキルア様以外とは殆ど

お話してないよ?


「これは確かな情報です。姉様とは殆ど話もし

ていないのにですよ?」


わっ!それも調査済み?


「先程も言いましたが姉様は一瞬にして人を

魅了するのです!皆んな姉様の素敵オーラに

やられてしまうのです!それを自覚して

下さい!」


「素敵オーラですの?」

「はい!そうです!」


ふふふ。なんて可愛い言い方なのだ。

もうホントぎゅーって抱きしめたくなる。

いかん、いかん、止めろな、私。

変態出すなよ、私。


「だから姉様には沢山の護衛が必要なんです」


ふがぁーーと言い切ってスッキリしたみたい

だな。あー可愛い!ノアは私の心のオアシス

だわ〜。


「ノア様、クラウディア様は人間だけではなく

神々にも連れ去られてしまうかもしれません

よ〜?そちらも油断できません」


ぽわぁ〜とした話し方でジョゼフが言う。

わぁ〜!この子も癒し系だ。

こんな可愛い感じで敵がきたらどんな風に戦

うのかなー。ふわふわした感じでザンザン人

を切ってく感じ?それはそれで怖いな。


「そうだねジョゼフ!姉様が神々に連れ去られ

そうになった時の為に僕は聖騎士になっとく

ね!」


いや、いや……。だからさ〜もっときちんとした

理由で聖騎士様になっとくれ。


しかも聖騎士様になるにはかなり難しいって聞い

たけど?聖騎士様は普通の騎士様とは違い神様の

加護を受け神様に使える騎士様と言われている。

何やら『聖騎士診断石』なる石が神殿にあるらしい

のだが未だかつて聖騎士様認定された人はいない

らしい。


聖騎士様の起源は1000年前に魔王を倒した

アーサー王の仲間に聖騎士様がいたと伝わって

いる。


条件としては光魔法が使えて土、水、氷、

風、火の中から3つ以上の魔力があって尚且つ

その力が強いこと。

ん?ノアって光魔法が覚醒する前は火、氷、風

が使えたんじゃなかったっけ?

確か今もその魔力はあるはずで……。

条件クリアしとる……。

ヴィンセット家、ハイスペック過ぎてもうなに

も言えん。


でも聖騎士様は神様関係な感じだから神殿勤めに

なりそうな予感がバンバンするじゃない?

だからレオンお父様はノアがなりたいと言っても

反対しそうだけど……。

なんだかんだ言ってもあんまりレオンお父様と神殿

の方々は仲良く見えないから……。


「それは良いお考えです。ノア様なら聖騎士

にすぐになれるでしようねぇ〜」


聖騎士様について考えていた私はジョゼフの声で

ハッと我に帰る。


ジョゼフのぽわぁ〜と話す感じいいわ〜。

君が言葉を発すると周りにお花が舞い散るよ。

私よりも女子力高い……。


そんなアホっぽい……じゃなくてほんわかし

た会話、たまには良いな〜と思っていたら横

に座っているエドがニコニコしながら私達

3人を見ていた。

私には分かってしまう。

『コイツら馬鹿だな』オーラ出まくってる

ことを。舎弟だから許すけど。

あながち間違ってはいないから許すけど。


何でエドはいつも余裕ありありな感じなのだ

ろうか?12歳なのに!

もしかして中身は成人男性通り越してオヤジ

なんじゃなかろうか?


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