初めてのお出掛け③
私の正面にはノアが、横にはエドがそして
ノアの横にはジョゼフが座っている。
ジョゼフはノアの専属護衛騎士様だ。
16歳とピチピチな美少年なんだけどこの国
には美男美女しかおらんのかい?
ヴィンセット家の使用人達も外見重視採用
してるのかと思ったものだ。
毎日キラキラな人々に囲まれて生活してる
からなのか、たまに、こう……素朴なって
言うのかな?地味って言うのかな?そんな
お顔に出会いたい。
贅沢な願いだろうか?
話はズレた。元に戻そう。
そう、ノアの護衛について。
ノアにはヴィンセット家からジョゼフ以外に
5人の騎士様もついている。
なんてったって稀有なお人なので。
この5人は剣術、武術に長けていて
『鬼の5人衆』と呼ばれているらしい。
そして光魔法持ちのノアは神殿側からも3人の
護衛がついている。
なんてったて稀有なお人だから。
こちらは恐ろしく魔力が強い方々らしく
『赤の3人衆』と呼ばれているらしいが何が
『赤』なのか怖くて聞けない。
『鬼の5人衆』も『赤の3人衆』も滅多に人前
に姿を現さない。
どんな人達なのか気になる!
いつかお会いできたりするかしら?
合計9人(ジョゼフも仲間に入れてあげたよ)の
他にも『影』と呼ばれるこれまた姿を現さない
護衛達が何十人いるか知らんけどいるらしい。
凄いね!それだけノアは稀有なお人なんだ。
しつこい?でも稀有だからさ〜。
で、私の護衛はエドお1人。
メアリーは一緒に来る気満々だったようだけど
護衛は1人でいいってなったみたいで。
更にどうやって決めたか分からないけどエドが
勝利したようだ。
「ノアの護衛は沢山いて凄いのね。私、驚いて
しまったわ」
馬車にゴトゴト揺られながら私は言った。
これまた初の馬車だ。
前世で乗ったことがないからちょっとしたアト
ラクションのようで楽しい。
「え?姉様の方が多いですよ?」
「!?」
「確か70人ぐらだったかな?父上が最初100人
にするって言っていたのですが母上がそんな
に周りをうろちょろされたら楽しめないからっ
て70人までにしたようです」
「そ、そうでしたの?てっきりエドだけだと思っ
ていましたわ」
ちらりとエドを見ると『そんなわけねーだろーよ
あの旦那様がよ!』みたいな顔をしとる。
ニコニコしてるけど絶対にそう思っとるよね?
100人とかとか普通に騎士様を動かせるヴィン
セット家の力にビックリさ……。
しかもこんなちょっとしたお出掛けにだよ?
恐るべしノワール。
しかしローズお母様ってば70人ってこれまた
中途半端な……。
「あら、そんな70人もの騎士様に護衛していただ
くなんて申し訳ないですわね。一体私が何に襲わ
れると思っているのかしら?ふふふ」
「何って……街に居る男達や道行く男達は皆んな
姉様を見たら襲ってきますよ!出掛ける時のメイ
ド達の震える姿を見ましたか?男だけとは限り
ませんので決して油断してはいけません!!」
……ノアよ。そんなことがあるわけない。
それではこの国の人々が異常者か変態になって
しまうよ。
「まあ!ノアったらそんなことは……」
「いえ!姉様は人を一瞬にして魅了する力がある
のです!」
はい。ヴィンセット家恒例の会話被せですね。
最後まで言わせてよ……。