初めてのお出掛け②
まず事件が起きないのだ。
そりゃ屋敷から出ないとそう事件なんて
起こらんだろうけど物語では屋敷の中で
も小さな事件は起こっていた。
しかしそれさえも起こっていない。
やはりアフロなおばちゃんの記憶が出て
きちゃったから物語のストーリーも変わっ
てしまったのだろうか?
大丈夫なのか?
不安なことは不安なのだけど私は頭が悪い。
探偵の様に難事件など解決出来ないので
ちょっと良かったぁーーーー!と思っている。
すいませんね〜。
そんなことを考えていたらノアと出掛ける
時間が迫ってきた。
「ノア様とカフェデートですのでとびっきり
可愛くさせていただきます!」
と気合い入ったメアリーがやって来た。
そんな彼女に任せていたらヤバイぐらい可愛く
なってしまた。
いつも下ろしている髪の毛は両サイド編み込み
になっていて後ろでまとめられている。
まとめた髪をシルバーの大きめリボンで留める。
前世でもあったバレッタだ。そのシルバーのリボン
にはダークブルーの糸でお花の刺繍がされていて
とても可愛い。これはノアの瞳の色だ。
服はクリーム色のワンピースで胸元は上品な
レースになっている。スカート部分はふんわり
としたチュールだ。
ウエストにはリボンが結ばれている。
メアリーはどうやらリボン好きらしい。
耳元にはこれまたノアの瞳の色で作られたお花の
ピアスだ。お花の真ん中にはダイヤモンドか
な〜?ってぐらいキラキラな宝石が埋め込まれて
る。
普段殆どメイクなんてしないのだけどノリに乗っ
たメアリーにガンガンされた。
もうね、自分の顔ながら鏡で見て気絶しそうになっ
たわ。私が男なら襲ってるね。確実に。
そんな私が玄関先に現れた時、見送りに来てくれ
ていたローズお母様もメイド達も目を輝かせて震
えてた。うん。そうだよね。先ほども言ったが私
が男なら襲ってるもん。
女性達でさえそんなんだから
「お待たせしました。姉様と2人でお出掛けなん
て初めてなので何を着て行こうかと……」
と言いながら階段を降りて来たノアはフリーズ
した。
「ノア?」
私はとりあえず声かけしてみる。
「……」
「ノア?」
「……」
「ノアーー!」
そろそろ正気に戻れ!何回呼ばせるんじゃい!
「あっ!姉様!すいません……天使が目の前に
降りて来たのかと……」
「あら。天使はノアの方ですわ!」
私はつい本音が出てしまった。
いや、ホントお出掛けバージョンのノアったら
最高に可愛いんだけど!?
白いブレザーに白いパンツ。ブレザーの胸ポケ
ット部分には太陽をモチーフとしたブローチが
輝いている。金で作られていてこれは私の瞳の
色だ。中の白いシャツの襟には大きなリボンが
ありそのリボンにも金色の刺繍がされている。
ブレザーの袖からはシャツのレースがフリフリ
出ている。
ノアは可愛いからリボンもレースも似合うん
だな、これが。
プラチナブロンドのふわふわした髪は綺麗に
セットされていた。
「姉様、そのリボンの刺繍とピアスは僕の瞳の
色ですか?」
照れながら聞いてくるのがこれまた天使!
「そうですわ。メアリーがノアとのデートだから
と用意してくれましたの。ノアも金色のブロー
チを付けてきてくれたのね?リボンも金色の
刺繍かされていて嬉しいわ」
「はい!姉様の綺麗な瞳の色です……って今
デートって……」
「ええ、今日はノアとデートですわ」
「そ、そうですか!デートですか!嬉しいです」
可愛いお顔を真っ赤にながら凄く喜んでくれ
てる。
中身はアフロなおばちゃんなんだけど
許してくれ……。
でもお互い相手の瞳カラーを身に付けるってちょ
っとキュンってする。おばちゃんだけどキュンっ
てするわぁ〜。
そして服もクリーム色と白色なんてペアルック!
言い方おばちゃんくさくてごめんよ。
若者語ではお揃いコーデとかなんとかになるのか?
もう、おばちゃんだからペアルックで勘弁して。
てな感じで今、私は馬車に揺られている。