元旦那です④
「ほら!俺は凄く良い事をしたんだ!カミング
アウトして良かった!これで俺もこの
世界で特別な人間として認識されてディアと
行動を共に出来るってやつな!いつもさー
俺だけ仲間外れ感半端なかったんだよね。これ
からは俺を頼れよ?ほら、俺の前世はケンカ
強かっただろう?それがイザークに生まれ変わっ
てからずっと北や南の辺境領土に行かされて
戦いの毎日だったから更に強くなってるぜ!」
んー。仲間外れって、小学生か!!
「ちょっと疑問があるんだけど。何でイザーク殿下
は辺境領土に行って魔獣と戦ってるの?
第二王子様なのに」
「あ、それね。確かに俺は第二王子だけど自分の
軍も持っている。その軍を強くする為にも実戦は
必要なんだけど魔獣討伐の頻度がえげつない
よな?俺も知りたい。父上、何故いつ
も私に声が掛かるのですか?」
偉い!皇帝陛下と話す時の一人称が『私』に
変わってるぞ!そこら辺はきちんと王族なん
だな〜。しかし魔獣討伐を任されてた理由も
知らずに『はーい!行って来まーす』
みたいな感じで行ってたの?
それは余りにも......。
「何を言っている?いつも回ってくる書類
にはお前が自分の軍を魔獣討伐に動かすと書いて
あったぞ?お前自ら志願していたのではないの
か?」
皇帝陛下も「?」な、感じで返している。
「え?違いますよ!いつも父上から討伐の依頼
がきていると書類がきて......」
って事は誰かがイザーク殿下の軍ばかり討伐に
行かせていたって事か?
それもいつも私に何かありそうな時を狙って
わざわざ?偶然?いや、イザーク殿下を私から
離す為だ。
それに合わせて魔獣を出現させていた?
そんな力がある奴って。
魔王か魔王関係者しかいないんじゃない?
アクアが皇帝側には注意しろって言ってたの
ってコレなのかな?
「この件に関しては即刻調査させる。ロレン
調べろ」
「はは!」
返事をするとロレン様は部屋から出て行って
しまった。
流石、皇帝陛下仕事が早いわ〜。
「しかし!アダンは伝説のアーサー王の
生まれ変わり。イザークは異世界人の
生まれ変わり。我が息子達はなんと素晴らしい
のだ!今から妃に話してくる」
と、言ったと思ったら突然早足で部屋を出て
行ってしまった。慌ててレオンお父様がついて
行く。自由だな、おい。
「陛下!まだイザーク殿下の前世での立ち位置に
ついて詳しく聞いておりませんが!!殿下!?」
レオンお父様の必死の叫びがこだまする。
前世での立ち位置って。アレか。
私の旦那ってやつ。
ルイお兄様もノアもその事について
知りたがっていたからレオンお父様もそうなん
だろうな〜。今晩にもお話をしようかな。
「しかしイザークに魔獣討伐ばかりさせて
どうしようというのだろうか?」
アダン殿下が首を傾げる。
そんな仕草もいい男すぎて目が潰れそうだ。
「もしや、俺を鍛える為に......?」
そんなことあるかーい!!
なんの為に鍛えるんだよ。
「それとも俺が強すぎるから暗殺する為......?」
強すぎるわけあるかーい!!
それならアダン殿下の方を先に暗殺しとるわ!!
「な?ゆうちゃんはどう思う?」
「どっちも違うと思うよ」
私は呆れ顔で喰い気味にお答えした。




