心残り②
「うん!分かった!」
「本当に分かってるか?イマイチ不安
なんだが……」
「大丈夫です!」
多分……。
「それとディア姫を助ける為とはいえ体
を使ってしまってすまなかった……。
出来るだけ傷は付けないようにしたつもり
だが……」
キルア様が申し訳なさそうにしてる。
「大丈夫ですよ〜。最初から悪魔にボコボコに
されて酷い顔だったですし」
「……そうだが。ディア姫、もう一ついいか?」
「何ですか?」
「もう少し自分を大切にしてくれ。俺が愛した
女性なんだからな。ディア姫は自分が傷ついても
割と平気だろう?他の奴が怪我したら目の色が
変わるのに」
へ?ん?今サラッと告白されたような……?
え?や、て、て、照れる!
顔がマジで真っ赤になってるよねー!
キルア様が照れた様に私の頭をポンポンして
きた。
ああ……。コレいつもしてくれてたやつだ。
大好きなポンポン。落ち着く……。
実は私もキルア様が居なくなってから初恋
だったて気がついたんだよね。
切ない……。
「わ、わ、私もキルア様のことが大好きでした。
キルア様が居なくなってから分かりました。
多分、初恋です……」
この場の雰囲気で思わず言ってしまったよぉぉ。
キルア様が目をまん丸にして私を見ている。
「え?え?そ、そうだったのか!?え?やっぱり
死ななきゃよかった!今から神様に言って生き返ら
せてもらえねーかな!?」
「ふふふ。無理……でしょうね」
「だろうな。あはは!」
2人で笑い合った。
「初恋は実らないって言う言葉もあるので」
「異世界語か?」
「はい」
「そうか……」
キルア様が再び私をギュッとした。
「きちんと別れが出来て嬉しかった……」
「私もです……」
涙が出て止まらない。もうきっと時間なんだ。
キルア様の体が透けてきた。
「キルア様!助けてくれてありがとうござい
ました!絶対に魔王を殺します!」
「ああ、期待してる。そしてルイの事も頼む……」
キルア様は本当にルイお兄様の事を大切に思って
いたんだね。了解ですよ!
「はい!素敵な女性を必ず見つけてあげます!
ご心配なさらずに!」
「……ルイ、可哀想な奴だな……」
えええーー?何て?聞こえなかったです
けどーー?
キルア様の姿が完全に消えてしまった。
転生するんだね。
少し寂しい気持ちになりまた涙が止まら
なくなって次から次へと溢れ出る。
バイバイ。キルア様。バイバイ私の初恋。
あ……目の前がぼやけてきた。
「……ア。……ディア!」
んー。誰かに呼ばれてる。
もう少しだけ初恋の余韻に……。
「頼むから目を覚ましてくれ……」
んー。なんかとても切羽詰まってる感じの
声だな。私が起きないとヤバいのか?
私はパチリと目を開けた。