心残り
気がつくと真っ白な空間に1人で立っていた。
「あわわわ!マジで私死んだ!?これ死んだ
よね!?」
死ぬのは2回目……。でも1回目は自覚が全然
なかったからなぁ。
「おーい!ディア姫!まだ死んでねーよ?」
ウルウルしていたら後ろの方から呼ばれた。
勢いよく振り向くとキルア様が立っている。
「キルア様!?」
「おーよ!俺だ」
「えっと?色々とありすぎて頭がついていけて
ないのですが……」
「だよな〜。まず再会出来て嬉しいぞ!
ディア姫!」
そう言ってキルア様は私を抱きしめてきた。
「うわーん!私も嬉しいですぅぅ〜!」
私、号泣だ。
「キルア様はどうして……」
「俺さ、さっきのアイツに殺された時に
ディア姫を守る事が出来ないまま死にたく
ねーって心底思ったんだよな。そしたら声が
して一回だけなら協力してやるって。何者
かに魂を引っ張られたんだよ」
「え!?」
「で、気がついたらここに立ってて。そしたら
神様だっていう男が来て軽くディア姫について
教えてくれて。多分もう俺は死んでるから色々
知っても害にはならないと思ったんだろう。
そして生まれ変わる前に一度だけ下に降ろして
やるって言ってくれたんだ」
う?もしかして神様ってデブ専のことか?
「神様っておじいちゃんでしたか?」
「いや?もの凄い色男だったぞ?」
え?は?そうなの!?
あれ?イザーク殿下も神様はおじいちゃん
だったって言ってたよな?
何で姿かえるかなー。
謎だな。
「俺さ、ディア姫を守れないまま死んだ
事に対して凄く心残りで……。それがあると
上手く生まれ変われないんだとよ。だから
その心残りを無くすために協力してくれた
ってわけ。生まれ変われない魂が増えると
面倒くさいらしいぞ?」
「そんなに心残りでしたか?」
「当たり前だ!俺は一生ディア姫だけを守って
生きていこうと誓っていたんだぞ?それが
あんな簡単に……。まぁ、俺が弱かったから
だけど……」
「そんな事は無いです!キルア様は強いです!」
「ぷっ……あはは!ありがとよ。本当に変わら
なくて安心する」
そ、それは成長してないって事か?
いや、私はもう既におばちゃんなんでこれ以上の
成長は望めん。
「そのう……ディア姫が異世界人だとかこれから
やらなければならない事とか少しだけ聞いた。
大変だとは思う。それを手伝えない自分も
情けねーけど……。ディア姫は必ずやり遂げる
と思っている。で、だ。前に俺が言った事を
覚えてるか?」
「仲間……?」
「そうだ。仲間だ。何でも自分1人で背負い込む
なよ?今は『仲間』が沢山いるだろう?前の
女神さんは1人で何でもやり過ぎたんだ。ディア姫
にはそんな辛い思いをさせたくない」
そっか。ポレットは1人でやっちゃったんだ。
だから誰もポレットがどうなったか知らないん
だね。頑張っちゃったんだ。




