僕の愛しい人⑦
私キルア様はさっきのルイお兄様みたいに
小さな声で呪文を唱えた。ルイお兄様とは
違った呪文だ。
すると棒がオレンジ色に光った。
「「「何故お前がその呪文を!?」」」
悪魔本体と分身達がハモった。
「だからルイがさっき説明しただろう?
お前は馬鹿なんだなぁ。今の時代には
お前達悪魔を殺せる騎士は沢山居るって
事だよ!!!!」
そう叫んで糸に棒を振り下ろした。
ピキッと音がして糸が切れた。
「ぐわぁ!!!!」
分身達が消えて悪魔がしゃがみ込んだ。
「へぇ……。無理矢理切られると分身達が
消えるだけじゃなく本体にもダメージが
くるんだな」
私キルア様は楽しそうに言ってる。そして笑って
いたかと思ったら直ぐに叫んだ。
「ノア!コイツの右ふくらはぎの真ん中辺りを
聖剣で刺せ!」
「なっ!はっ?何故それを!?まさかそれも僕の
愛しい人が見つけたのか!?ポレットだって分から
なかったのに!?」
悪魔が焦って飛んだ。それをノアが追いかけて
空中戦になった。ルイお兄様も私キルア様も
加勢する。やっぱり悪魔は強い。
だってこの3人だって強いのに。この悪魔
もしかして普通の悪魔じゃないんじゃない?
「お前、普通の悪魔じゃないのか?」
ひよぇ〜!私が思った事をそのまま訊かないで
下さいな!ただの独り言ですよぉぉぉ!
「いや、俺も気になったからな!」
私キルア様の爽やかな答え……。
「何その変な独り言……。もしかして僕の
愛しい人と心で話してるわけ!?体を
いいようにして更に心まで……。
ムカつく……」
はぁ?何その聞きようによっては
めちゃくちゃヤラシイ言い方。
「何ですか!その表現の仕方は!決して
姉様のからはいいようにされていません!」
「そうだ。お前の言い方。虫唾が走る!」
ノアもルイお兄様もご立腹だ。
私もご立腹だ。
「……悪魔は皆強いよ?でもそうだね……。
普通か普通じゃないかと言われれば普通じゃ
ないかもね〜。『魔王の右側』だから」
ん?それはよく言う1番偉い人のの右腕、左腕
みたいな事か?1番近い側近ってやつ!?
そりゃ強いさね!
「この前、違う『次元』で『左側』は殺られ
ちゃったから今は『右側』の僕しかいないん
だけどね。出来損ないの悪魔がさ、そっちの
『聖女様』と一緒に殺ったらしいよ〜?」
ん?ん?違う次元とかって。それって……。
アクアの事か?
「ディア姫?その悪魔と知り合いか?」
「姉様!アクアの事では?」
「は?誰なのかな?そのアクアという
奴は……」
ああ〜そうか。記憶に残ってるのは私とノア
だけだったもんね。ルイお兄様は忘れてるん
だ。
「ルイ、残念だがお前は忘れているらしいぞ?
説明聞いてもきっと思い出さないな。諦めろ」
「何だと!?ノアは覚えているのにか!?」
「ノアは太陽神の血が入っているからその
悪魔も記憶は消せなかったんじゃないのか?」
その通りでございますよ。
大正解!!
「正解だとディア姫が言ってるぞ?」
てか、凄いよね?この3人悪魔と戦いながら
こんな会話を普通にしてるの。