僕の愛しい人⑥
「ディア姫!ありがとう!見えたぞ!」
私キルア様が叫んだ。え?そうなの?
私の体と魂は繋がってるから見えるのか?
あ〜さっきの考えてる事が筒抜けなやつと
同じって事か!何気に便利。
「ルイ!棒に氷の魔力を流してくれ!そして
あの2体を1分でいい、足止めしてくれ!」
「分かった!」
ルイお兄様から真っ白いオーラが出て私キルア
様が持っている棒に魔力が流れた。私キルア様
は素早くノアと戦っている本体の方に飛んで
行った。
ルイお兄様は後を追おうとしている分身達に
剣を振るう。そして何やら呪文を唱え始めた。
するとルイお兄様の持っている剣を半透明の
膜が包んだ。その剣を見て分身達が怯えだす。
「ひぃぃぃーーー!何故それを!?」
「その術はアーサーしか使えないのではなかった
のか!?」
そんな2人に対してルイお兄様は言った。
「1000年前はね。この術を彼以外に扱える魔力を
持つ人間がいなかったみたいでね……。今は私が
使えるのさ」
そう言い終わらないうちにルイお兄様は2人に
剣で攻撃を仕掛ける。私キルア様の棒にも魔力を
注いでいるのにこっちでもこんなに戦える
なんてどんだけの魔力量なんだ?驚くよ!
ルイお兄様が分身達を止めてる間、私キルア様
は私が見ている糸の隙を狙って棒を振り下ろす。
糸がみるみるうちに凍ってその場に居た皆んなも
見えるようになった。
「なっ?何ですかこれ!」
ノアが驚いて声を出す。
「くっ!見えたの?流石僕の愛しい人
だな……。ああ、今は気持ち悪い男だっ
た……」
悪魔はそう呟いてその凍っている糸を
溶かそうと魔力を流そうとした。
それをノアが邪魔をする。
「いいぞ!ノア!そのままで頼む!」
私キルア様がニコニコしながらノアの方を
向いた。ノアが真っ赤な顔をして何度も頷く。
まさか……惚れた!?キルア様に惚れてしまっ
たのかい!?
「姉様の姿でその笑顔は駄目ですよ……。
益々姉様に惚れてしまいますぅ……」
何かボソっとノアが呟いたみたいだったけど
聞こえんかったぁーーー!
しかし悪魔と戦ってるノアはカッコいい。
出会った頃は小さくて……事故でキスして
しまった事もあった……そうだった。私は
軽く犯罪者だった。色々と思い出が溢れ出て
くるのだけど?
私はこのまま死ぬんじゃないだろうか?
走馬灯的な……?
そう思ってワタワタしていたら悪魔の
右ふくらはぎ辺りが光っているのに気が
ついた。何だあれ?
「よし!切るぞ!」
私キルア様の声でハッとした。あの糸を
切るの?切れるの?頑張ってキルア様!