僕の愛しい人⑤
私キルア様とルイお兄様そして悪魔の分身
の4人はクルクルと宙を飛びカンカンと
剣を交えゴンゴンと魔力で攻撃し合う。
その様子をずっと見ていた私は分身の2人
の右小指から半透明の『糸』のような物が
繋がっているのが見えた。
何だろう?右手だから『運命の赤い糸』な
わけないし。そもそも赤くはない。
更に分身の1人の左親指から同じ半透明の
糸がふわふわと出ていてそれはノアと
戦っている本体の胸元に続いていた。
はは〜ん。そうかぁ。あれで本体とあの
2体は繋がってるんだ。アダン殿下達が
戦っているであろう分身達とは繋がって
いそうな糸は無さそうだからあちらは
もう方が付いているっぽい。流石だな。
と、いう事はあの糸を切って
しまえば分身は消えるんじゃない?
……しかし伝える事が出来ん。
くぅぉぉぉぉーーー!
と、叫んだら私キルア様が動きを止めた。
「どうした?キルア?」
ルイお兄様が戸惑っている。
「ディア姫!ディア姫にはそんな事まで
見えるのか!やっぱりディア姫は素晴らし
いな。最高だ!」
え?私の声が聞こえたの?
いや、その体は私だから普通に考えてる事
が分かるのかな?
てか、普段はこんなの見えないよ!?
もしかして今私は三途の川を渡っている状態
だから見えるのか?
「そうだぞ?ディア姫の思った事は全部聞こえ
ている。俺達の戦いに惚れ惚れしているのも
知ってるぞ?それにサン……ズ?
何だそれ?異世界語か?」
わーん!そうだったのか〜!地味に恥ずかしい
んですけど!あ!そうです!異世界語です。
「ええ?何!?キルア、ディアと話せてるの
か?惚れ惚れって……」
ルイお兄様の瞳がキラキラし始めた。
いや、ルイお兄様!今は私の事よりも
悪魔を倒してくれ!
『ディア姫、どこを切ればいいか教えてくれ』
私キルア様は悪魔に聞こえないよう心で私に
語りかけてきた。
多分ですけど本体と繋がってる糸を切れば
いいと。でもその糸の何処でもいいって
感じではないみたいです。んー。何処かな?
私は集中してその糸を見る。その間も
ノアと本体、私キルア様とルイお兄様が
分身達との死闘を繰り広げている。
早く見つけないと。
あーもー何だよ!分かんないなぁ!
もっとさー分かりやすい目印ないわけ?
色がちょっと違うとかさー!
「ぶっ……」
私の愚痴にキルア様が吹き出す。
「ああ……ディア姫はやはり最高だな」
「だから!ディアと話してるなら私にも
話させてくれないか?」
ルイお兄様が叫ぶ。
その時、本体に腕を切られたノアの血が
飛び散った。
ギャーーーーーーーーー!何してくれてる
わけ?この馬鹿悪魔ぁぁぁ!私の天使を……。
私の天使の血がその糸に付着した。
それも綺麗に糸全体に。
だけど一箇所だけ血が付いてないとこが
ある。よく分かんないけどあそこかぁ!?