エルフ王国の街④
「悪魔よ。さっきシールド張った
からどうとか言ってたけどこのレストラン
にはアーサーやサイラス、聖女も居る。
そして聖なる力を持って生まれた騎士もね?
お前のと対等に戦える者が沢山居るぞ?」
私はカッコ良い事を言ってるけどトイレで
尻もちついてるからイマイチ、ビシッと
決まらない感じがするよ……。
「ああ〜。そうだね。面白くなりそう。
太陽神の血筋のアイツは面倒くさそう
だけど」
え!?見ただけで分かっちゃうの?
流石、悪魔だな。
ニンマリと笑った悪魔が私の髪の毛を掴んだ
まま無理矢理立たせる。
痛いし!そういえば前に誘拐されそうになった
時も髪の毛引っこ抜かれたよね?
またハゲちゃうのかな……。
そう思っていたらトイレの扉は勢いよく後ろに
ぶっ飛んだ。
悪魔は私を抱えて瞬間移動しレストランの
中央の天井近くまで浮かんだ。私はレストラン
の中を見渡した。私達の一団以外は避難した
みたいでお客さんは誰も居ない。
良かった……。
「くそ!何故悪魔が!?」
サイラス様が叫んだ。
「本当だねぇ。皆さん揃ってる〜」
悪魔が楽しそうにしている。そして後ろから
抱き抱えられている私の首筋に顔を埋めながら
ウットリとした声で言った。
「1000年前ならこうやって僕の愛しい人に
触れるなんて絶対に出来なかったよねぇ。
嬉しいな。今世の僕の愛しい人が魔力が
使えない駄目女神でさ……」
むぅ!馬鹿にされてる!
完全に舐められてる!
「離しなさい」
私は静かに言った。
「嫌に決まってるでしょう?1000年前は
魔王に全部取られちゃったから今世は僕が
もらうんだ。あ、先ずは邪魔者を殺さない
とね〜」
そう言って悪魔は自分と全く同じ美少年を
3人作り出して下に居る皆んなの所に
行かせた。分身の術か!?
「アレはねぇ。僕と同じ魔力を待ってるから
強いよ?ほら、君が1000年前に僕たち悪魔を
無理矢理眠らせたでしょう?その間に魔力も
強くなったんだよね。結果的には君は敵を
強くしてしまったって事だよ?」
ほぇ〜。これまたポレットの誤算か。
うん。うん。人間味があってよろしい。
でもポレットが意図的に眠らせたんだ。
だからこの1000年魔王や悪魔が動かなかっ
たんだね。一つ謎が解けた。ポレットはそれ
だけの間、時間が欲しかった……?
「何考え込んでるの〜?僕と居るのに。
僕の事だけを考えてよ。ね?あ、2人だけに
なった方がイチャイチャできるかぁ。じゃあ
移動しようかな」
イチャイチャしないし。
待て!移動するな!
コイツは愛しい人なんて言いながら私の
扱いが乱暴だ。魔力を使えない私には
2人になったらもう終わりだ。
ジタバタして抵抗してみるもガッツリ
抱えられてるから身動きも出来ない。
悪魔は私の頭にチュっとキスを落として
私ごとその場から消えた。