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返事


「あの後、ポレットが魔王を倒した祝いの祭りの

最中に行方が分からなくなったと青ざめた顔で

アーサーが訪ねて来たんだよね?」


前国王様が可愛らしくチビチビとワインを飲み

ながらアダン殿下に言った。


「ああ、エルフの国にもしかしたら行っている

のではないかと思ってな。アグオス中探しても

見つからなかったから」


「で、結局見つからなかったんだよね。僕も

サイラスもさ、必死に探したのに」


「そうだ。俺も探したぞ?それこそ小さい村や

森の中まで」


聖女様とサイラス様も当時を思い出している

ようで。


「その事が1番気になってるんだけど、ディアに

記憶が無いのなら解明するには無理だよね」


聖女様が軽くため息をつく。


「でも、こうしてディアとして生まれ変わって

るってことはさ……。ポレットはあの時なのか

その後なのかは分からないけど死……」


「それ以上言うな」


そう言ったサイラス様の口をアダン殿下が

シフォンケーキを入れて黙らせた。

あ!シフォンケーキ!美味しそう!後から

食べよう。


「ごめんなさい。本当に私に記憶が残っていれ

ばよかったんですけど……」


私は謝る。だってこれはポレット最大の謎だもん

ね。皆んな知りたいよね……。


「ディアが悪いわけではないから謝る必要は

ないよ?」


私の後ろに立って居るルイお兄様が優しく言って

くれた。その場の雰囲気がそうだよなってなった。


「えーと、そいう事なのであの……。あの時の

お返事が聞きたいのですけど……」


前国王様が顔を真っ赤にして私を見る。

ん?お返事ってプロポーズのかい?

ポレットは返事してたよね?

それを前国王様が聞こえないふりしてただけ

だしな。


「お返事……してましたよね?ハッキリと」


私は恐る恐る言ってみる。だって昔の話をして

くれてて自分の口からも説明してたじゃん?

皆んなもうん、うんと頷いてるけど?


「ん?お返事もらってはいませんよ?」


マジか。

じゃあ、改めて言った方がいいのかな?


「それではお返事を……」


『クラウディア嬢、お祖父様が場の空気を読

めなくて大変申し訳ないです。昔のご記憶も

ないのに本当にすいません。返事はしなくとも

良いですよ』


長男王子様がさりげなく私に近づいて

コソッと私の耳元で言った。

私の心配をしてくれる心遣い!イケメンなのに

更にデキる男!最高だな!


しかし私より前国王様の方が皆んなの前で

断られるって公開処刑になっちゃうよね。

私は小さく頷いた。


「ほら、ほら。お祖父様?こんな皆様の前で

返事だなんて女神様が困ってしまいますよ?

後でお二人になった時にゆっくりお聞きした

方がよろしいかと。今は美味しいお酒と食事を

楽しみませんか?」


「ああ……ああ、そうだね。気が付かずに

これは大変失礼をした。今は客人をもてなす

時間だな」


お孫さんには言葉使いが違うんだね……。

大人な感じがするよ。見た目は高校生だけど。


前国王様が直ぐに納得してくれて食事の時間に

なった。するとノアが待ってましたとばかりに

私にせっせと食べさせ始めた。

それを見て動きが止まる前国王様と長男、次男

王子様達。


「えーと、これは……?」


次男王子様が訊いてきた。


「ヴィンセット家の特権らしいです。まだ

私達の誰もやらせてはもらえていません」


アダン殿下が速攻で答えていた。

私は食べるのに忙しくてかまってはいられない。

何回も言うけど慣れって怖い。もう全然人前でも

恥ずかしくない。

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