side エルフ前国王 シューピオ④
その戦いで私は彼らのサポートに回り
戦いを観察した。
言ってしまうと『お見事』だ。
それぞれの得意な魔力を出し合ってそれを
上手く絡め戦っていく。
今までに見た事もない戦い方だった。
私は感動しこの戦いの後、学校には
通わず彼ら達に付いて行き一緒に悪魔討伐に
加わった。駄目だと言う彼らに無理矢理
ついて行ったと言った方が正しいか。
見た目が子供だからだ。まずは全て話そうと
思い話したのだ。
するとエルフの王なら尚更駄目だと言われて
しまった。しかし私は諦めずに彼らが行くとこ、
行くとこに現れたのだ。
そうすると彼らは根気負けしてやっと一緒に来ても
良いと言ってくれた。
ある悪魔の団体を討伐した後に皆で
夕食を食べていた時だ。私がエルフの王だった
と話した事についての話題になった。
「そうだろうと分かっていた。しかし自ら
打ち明けてくれるまではこちらからは何も
尋ねるなと皆には言っておいた」
ポレットはエールを飲みながらさらりと言った。
ああ……そうだろうな。この様に強く完璧な
魔力を持っているのだ。直ぐに見抜かれてしま
うだろ。
「で?エルフの国王様として我々の国はどう
感じた?」
アーサーがつまみのチーズを食べワインを飲み
ながら訊いてきた。
「えーと。うん。この国は腐ってると思うよ?」
もうこの時になると私は4人に心を許していて
この様な話し方になっていた。そう、この話し方
は本当に気を許している者にしかしない。
「あはは!ホントはっきり言うよね」
聖女がほろ酔いで笑いながら言う。その手は
ポレットの肩を抱いている。むっ。と思った
瞬間聖女の手首が切れゴトリとテーブルに
手が転がった。
聖女は聖魔力で切り押された手を復活させて
テーブルの手も一瞬で消した。
「もー!ポレットは相変わらず愛情表現が
熱烈だな〜」
聖女は呑気に笑う。愛情表現?
嫌がっているのではないのか?
「あのよー。毎回、毎回、お前の手や足
それに首とか転がるの見るの嫌なんだけど?」
サイラスがため息をつく。
毎回!?首!?聖女も分かっててポレットに
くっついているのか。変態だな。何かを
超えた変態だ。
「そうだな。シューの言う通りだ」
アーサーが話題を戻す。
「でしょう?魔王討伐が終わったらさこの4人
で新しいトップになったらいいよ。良い国が
できると思うな」
私は本当に心の底からそう思ったのだ。
「あーー!シューってばホントいい奴だよな!」
そう叫びながらサイラスが私の頭をわしゃわしゃ
と撫でる。せっかくポレットの為に綺麗にセット
してきた髪の毛がぐしゃぐしゃになってしまった。
サイラスでなければ一瞬で首が飛んだぞ?
ほら側近達も青い顔で立っているだろう?
するとその髪の毛を優しく撫でつけてくる
手があった。顔を上げるとポレットが少し
微笑んで私の髪の毛を直してくれている。
ああ……。ポレットは本当に女神だ。
じーと見つめていたら
「ふふふ。すまない。私より年上なのに
思わず頭を撫でてしまった」
金色の綺麗な瞳が細くなった。最近ポレットは
私に対してー少しだけ笑う様になった。