side エルフ前国王 シューピオ②
その噂話が本当ならこの帝国にもまともな
人間が居るという事か。
俄然興味が湧いてきた。
そんな時だ。その勇者達がこの学校に講師と
して招かれる事になった。
普段威張り散らしているお偉方がせっせと
会場作りをしたり子供達に失礼のないよう
言い聞かせている。まったく笑えるな。
そして講義が始まった。
会場に入って来た4人はもの凄い魔力を纏って
いた。特に金色の髪の毛に金色の瞳の女性は
鳥肌が立つぐらい強い。、エルフの王にして
歴代1番の魔力を持っている私がそうなるのだ
から相当なものだ。
しかも一目惚れだ。
この私が……だ。
決して女性に興味が無かった訳ではないのだ
が側近からそろそろ妃を迎えろとうるさいぐらい
言われていていたらその話題になるにも嫌になる。
しかも忙しい。国王としての仕事だけで精一杯
の中でその様な事は後回しになるに決まっている。
はっきり言うが面倒くさいのだ。
そんな私が初めて興味を持った。
いや、一目惚れだ。
彼女はポレットと自己紹介をした。
……何回も言うが一目惚れだ。
ポレットの声をもっと聞きたいのに
話すのはサイラスと名乗った大魔導士
だ。時々アーサーとかいう男も話して
いる。
聖女は……。聖女?違うだろう?
男だろう?この会場にいる者で分かったの
は私だけか……。まあ、いい。
強くて悪魔と戦えるのならその様な
事は問題にはならない。
ポレットはニコリともせずにずっと椅子に
座って宙を見つめていた。
ふふふ。きっとこの様な仕事は苦手なの
だろう。勇者としてのお偉方との会議も
できるなら出席したくないタイプだろうな。
私は講義を殆ど聞かずにポレットについて
アレコレと想像をしていた。
そう聞くと変態っぽいが決してそうでは
ない……と思う。
その時だ。悪魔の気配を感じた。
強いのは1人。後は雑魚だ。私1人でも
戦えるがここには沢山の子供達が集まって
いる。とばっちりを受けて怪我をしてし
まっては国際問題になってしまうか?
それは面倒だ。
そうだ。勇者達が居るではないか。
あの者達のお手並み拝見といこう。
私は大きい声で叫んだ。
「お外に怖い人が居ます!僕がお母様
から聞いた様な悪魔みたいな人です!」
椅子から立ち上がって勇者達に訴えた。
一瞬しんと会場内がなった。
「えーと?君は確かエルフの国から留学
している子だよね?窓がないこの会場から
どうやって見えたのかな?」
サイラスが小さな子供をあやす様に言っ
てきた。少しイラつく。
「なぁに?この講義に合わせてイベントでも
用意してるわけ?」
聖女が気怠そうに呟いた。
こちらもかなりイラつく。
何だ!?勇者達もこの国のトップ達と
同じでどうしょもない馬鹿ばっかりなのか?