何の事やら
「お返事ですの?あの時の、とはどの時の
事か聞かせて頂いてもよろしいでしょうか?」
私は出来るだけやんわりと聞いた。だって
前王様があまりにも緊張している様に見える
から。
「あ、え、そのう……すいません。ポレ……
いえ、女神様は……ご記憶が無いのでしたね。
突然にすいませんでした……」
前王様はショボンとして俯いてしまった。
え?は?私が悪い?言い方間違えた?
何処がヤバかったのだよ!誰か教えてくれ!
「さて、お祖父様も来てくれた事だし今日は
公式の場ではないので是非寛いで頂いて
昔話でもされて下さい。あ!この様な貴賓室で
は落ち着きませんよね?もう少し和めるお部屋
へご案内致します。そちらに食事もご用意して
いますので」
次男王子様がその場の空気を読んだのか流れる
様に私達を違う部屋に案内する。
『私の受け答え間違ってたかな?』
部屋移動中にメルカルロ様へ小さな声で
質問した。
『いいえ。大丈夫ですよ。お祖父様は興奮なされ
てしまったようで。何も気にする事はございま
せん』
メルカルロ様はそう言って微笑んでくれた。
でも気になるよね?ほら、気になってるのは
私だけじゃない。ルイお兄様もノアも難しい
顔してるもん。
アダン殿下とサイラス様は元国王様と話しながら
歩いてるから気にしてないのかも知れないけど
聖女様が……。
前を歩く聖女様の背中からやっべーオーラが
出まくってるんだけど。
って、事はあっち絡みか?
1000年前に告白でもされたのかなぁ。私。
いや、ポレットがね。
とか、色々と考えているうちに部屋についた。
部屋には食事が用意されてていい香りが
する。ああ、お腹すいた!
前世で言うところのビュッフェ形式になってる。
全種類食べたい!全種類飲みたい!
「ディア?程々にするんだよ?食べ過ぎて
体調崩す様な事にならない様にね?」
ルイお兄様、よくお分かりで。いつもなら
エドがそう言ってくるんだよね。今回は
居ないから……。少し寂しいな……。
「分かってます!程々ですよね?」
ふふふと私は笑った。
「姉様、僕が取ってきてあげますので座って
いて下さい」
ノアがいそいそと料理を取りに行ってしまった。
「あ、そんな、自分で……」
「私も取ってきます。お嬢様の好きな料理は
分かっていますので」
メルカルロ様もいそいそと行ってしまった。
いや、いや、いや。ビュッフェってどれを食べよ
うか自分で見てお皿に盛るのが楽しいんじゃん?
私の楽しみを奪うなぁ!
でも2人とも楽しそうにお皿に料理を乗せて
いるのでま、いいかぁ。
ルイお兄様が持ってきてくれた果実水をちびちび
飲みながら……って!何でお酒じゃないの?
ルイお兄様に目で訴えてみたけど。
『お酒は駄目だよ?』
と、目で答えてきた。ルイお兄様がそう言うの
なら仕方がないか。ちぇ〜と思いながら顔を
上げるとアダン殿下とサイラス様が元国王様と
笑いながら話してるのが見えた。
楽しそうだな。記憶があるってちょっと
羨ましい……。