登城
王城の豪華な一室に煌びやかな面々が集まって
いる。エルフ王、エルフ王子、皇帝陛下、
神殿様、アダン殿下、サイラス、聖女様、
ルイお兄様、ノア、そして私とそれぞれの
側近達だ。側近の中には勿論レオンお父様
も居る。ヴィンセット家の殿方が勢揃い
だね。
因みにルイお兄様はアダン殿下の側近と
ノアと共に私を守る騎士として参加して
いるらしい。ルイお兄様は聖女様のこと
が本当に嫌いらしいのだ。
私と聖女様が同じ部屋に居るのでさえ
嫌がっている。
とは言え、今日は話し合いなので仕方ない
のですよ。ルイお兄様とノアは私の両サイド
を陣取っている。それを見た皇帝陛下が
面白そうにニヤニヤしている。
ギャフン!いい男過ぎて目眩がするよ。
聖女様はアダン殿下とサイラスに挟まれて
座っている。きっと私に何かしようとした
ら直ぐに止めれるようにだろう。
私のテーブルを挟んで正面に座っている
聖女様をチラリと見た。うん。喋らなければ
女の子みたいに可愛いんだけど。だから
怖くないよ。怖くない。
そんなちょっとビクビクしてる私を聖女様
はニヤリと笑って見ている。
怖いないもん!
「僕の女神様は変態兄弟に守られてる
ってわけか。僕が聖力使ったら対応出来る
ように太陽神の息子まで連れて来て。笑っ
ちゃうね」
聖女様が突然話し出した。
「変態とはどういう意味だ?」
アダン殿下が聖女様を見て首を傾げた。
「嫌だなー。アーサー。だってあの兄弟は
妹として姉として一緒に暮らしてるポレット
を女性として愛してるんだよ?幾ら従兄妹
って言ったって気持ち悪いよ。ねぇ?
ポレットだって嫌だよね?」
はぁ〜!?何を言い出すのか。
家族愛を舐めんじゃねーぞ?ゴラァァァァ!
でも堪えたよ。私、堪えた。
「変態ではないですわ。家族愛ですのよ。
それに私の名前はクラウディアです。
ポレットではありません」
冷静に言えた!ふぅーー。
「ふぅ〜ん。もう手懐けられちゃって
るのかなぁ。嫌だなぁ。家族愛って。
そんなわけないでしょう?本当に鈍い
のは昔と変わらないね。あ!手を出され
ちゃってても分からないとかは流石に
ないよねぇ?」
ルイお兄様から冷気が出てきた。
「あ、僕には君の魔力は全然効かないの
知ってるだろう?無駄、無駄」
アダン殿下とサイラスが何かしようと
したその時ノアが光の小さな玉を聖女様
に飛ばした。それを聖女様は息をフッと
かけて粉々にする。アダン殿下とサイラスは
同時にシールドを自分に張って粉々に
なったカケラから身を守った。
そのカケラがテーブルに落ちるとみるみる
ジューと音を立ててテーブルの一部が溶けた。
ひえ!ノアは完全に聖女様を殺しにかかって
るぞ。いいのか?
「あはは。いいぞ!太陽神の息子!でも
勘違いかもよ?君がポレッ……あっ、
失礼。クラウディアだったね?を好き
な気持ちってさ」
「は!?」
ノアが不機嫌極まりない声を出した。