パーティーの後で
「なぁ、ディア、いつも俺がいない時に
色んな事に巻き込まれてるな……。俺は
ディアを、ゆうちゃんを助けるために
生まれ変わって来たのに意味ねーじゃん?
何だっけ?聖女?に襲われるは、従僕が
増えてるはで……」
私をお見舞いに来たイザーク殿下が
不満たらたらだ。
「逆にさ、イザーク殿下の方がいない時
多いじゃん?毎回どこ行ってんの?」
「あ、それはイザーク殿下のせいではないの
ですよ?今回は東の砦から魔獣が暴れ始めて
しまって助けを求める手紙が来たのです」
ニコニコしながらイザーク殿下の側近
アベル様が説明してくれた。
「でもさ、いっつもタイミング良くない
かい?私に何かあるとイザーク殿下は
居ない……。もしや……?」
私はめちゃくちゃおばちゃんチックな物言い
になっている。やはりセイさんもとい
イザーク殿下の前だと『裕子』に戻ってしまう
らしい。
「お前、馬鹿か?俺がゆうちゃんに何かする
なんてあるわけねーよ!」
「分かってるよう〜。冗談じゃん」
私達のじゃれ合いにアベル様とエドは慣れて
いるがメルカルロ様はお初なので戸惑っている。
「あのう……。イザーク殿下とお嬢様は……」
そう言ってきたメルカルロ様を見てイザーク
殿下に紹介してなかった事に気がついた。
「イザーク殿下、新しい従僕は私に付いて
くれていたメイドのメアリーなんだよ〜。
実は男性だったの」
とりあえずメアリーがエルフの王子だった
事を伝える。いずれ分かることだしイザーク
殿下も王族なんで教えても大丈夫だ。
「ええーーーーー!あの美人さんが男だった
なんて……」
「エルフの王子でメルカルロといいます。
イザーク殿下、お見知りおきを……」
メルカルロ様は深く頭を下げて自己紹介した。
「よ、よろしくな。で?なんで来賓じゃなくて
従僕?」
「それはお嬢様のことが好きなので。お側に
いたいただそれだけです」
「そうなの!メアリーは……じゃなくてメル
カルロ様とは私が小さい頃から一緒にいて
くれたからもう友情を超えた何かがあるの
よねぇ〜。だから今も側に居てくれて嬉しいし」
「あるのよねぇ〜じゃねーし!お前、鈍いにも
程があるぞ!?」
イザーク殿下が呆れた顔だ。
「はぁ〜?私のどこが鈍いの?それに
今、私が鈍いって話、関係ある?」
私がプンスカ怒っているとエドが笑顔で
イザーク殿下に言った。
「イザーク殿下?お嬢様が異世界人だと
いう事をごく親い方々に言ったのは
ご存知ですか?」
お?話題を変えたぞ?
鈍いって何に対して鈍いのか問い詰めたかっ
たんだけど……。
「あ〜、兄上から聞いた。ディアも酷いぞ?
俺に相談して欲しかったし。俺は誰にも言わず
にいたのにさ」
「何故、イザーク殿下に相談を……?」
メルカルロ様が疑問に思ってしまった。
イザーク殿下も異世界人だとメルカルロ様
には言ってもいいか。
これからこのメンツで会う事が多くなり
そうだし。