パーティーにて③
息子は床に私を倒し、いわゆる『床ドン』
の体勢になった。
そして私の首筋に鼻をつけてクンクンと
匂いを嗅ぐ。
「うん。弱いけどしっかりとポレットの
香りがする。それに魂が7色に輝いている
し。お前、ポレットの生まれ変わり
だよね?」
鼻を離し私の顔を見下ろして微笑んだ。
この人も魂の色が見えるんだ。
「でもポレットじゃない匂いの方が濃い。
何故?」
言っても殺されないか!?
私はビクビクしながら言ってみた。
「えっと、確かに私は女神様の魂を持って
いますが異世界人の魂もありましてその
二つが混ざり合っている状態です。そして
異世界人の方が勝っているので女神様の時
の記憶が一切ございません」
ど、どうだ?
大丈夫かな?
「はっ?異世界人?ポレットの記憶が無い?」
息子、めちゃくちゃ睨んでるよ。
怖えーよ!全然大丈夫じゃなかった。
「ふふふ。あはは!流石ポレットだね。
面白いなー。確かにポレットじゃない匂い
は今までに嗅いだ事がない。良い香りだけど
異世界人のだとはね」
あれ?受け入れられた?
「えーと。貴方は聖女様の生まれ変わり
ですか?」
「うん。そう。小さい頃からポレットの
匂いを探してたんだけど中々見つけられ
なくてね。僕も田舎の方に住んでるから
王都に居るお前の匂いは伝わってこ
なかった。というよりこんなにポレット
の匂いが弱いから伝わってこなかった
んだね……。紛らわしい。そうじゃなか
ったらあの2人より早く見つけて監禁
したのにさ」
ん?生まれ変わっていても会いに来なかった
理由は分かったよ。でも最後の『監禁』ってさ。
監禁って言ったよね?
「監禁……ですか?」
「そう。前みたいに突然居なくなるって
それ困るから。嫌だから。今、お前が
生まれ変わってるって事はその時なのか
は分からないけど僕の知らないところで
死んじゃったって事でしょう?許せない
よね」
「あ、駄目ですか?貴方の知らないところで
死んじゃったら」
「当たり前に駄目だよ。ポレットはさ、
僕のものだし。ああ……お前も生まれ変わり
だけあって見目はポレットと同じ……か、
少し若いかな?特にここはまだまだ僕の
知ってるポレットには追いついてないね」
そう言って息子は突然私の胸を両手で
揉み出した。
それをシールドの周りで見ていたアクア命名
『ディア溺愛集団』達が狂った。
それぞれに何か叫んでこちらを威嚇している
様に見えるけど本当にあちら側の声も音も
聞こえてこない。
「テメー!お触りは禁止だ!」
私は少々キレた。いや、かなりキレた。
まだモミモミしている息子の顔に鉄拳が
めり込む。
あれ?聖力強めの息子よ。何故こんなに
簡単に私の鉄拳を喰らうのだ!?
「いってぇぇ〜!」
息子は私の胸から手を離し殴られた顔を
覆った。
「ああ、これだ、これ!ポレットの
攻撃!やっぱりお前はポレットだね」
息子はうっとりと嬉しそうに私をまた
見下ろした。
え!?サイコパスなうえにドMなのかい?