聖女様ってどんな人?②
お茶会も終わり屋敷へ帰って来た。
聖女様がどんな人なのかが少しだけ
分かった様な気がするけど。
私に中ではとてつもなく怖い人物像が
組み立てられてしまっていた。
実はあの日記の最後に『殺す』って一言
書いてあったのだよ。
『殺す』ってさ、誰を?
あの日記は結局術がかけられてて私
しか読めないんだから私宛の『殺す』
だよね?
お風呂も入り部屋で果実水を飲んでいた
けど『殺す』が頭の中をぐるぐるし
ちゃって寛げない……。
その時、扉がノックされた。
「姉様?少しいいですか?」
ノアの声だ。
「どうぞ〜」
はっ!しまったリラックスし過ぎておば
ちゃん語になってる!
「どうしましたの?何か急ぎの用事ですの?」
私が座っているソファーの横に立っている
ノアに座って?と手で促す。
ノアはテーブルを挟んで正面に座った。
「いえ、急ぎというか……。夕食の時に姉様の
元気がなかった様に見えて今日のお茶会で何か
嫌な事でもあったのかと……」
え!?心配して来てくれたのかい?
いい子に育ってくれてるなぁ〜。
「私、元気なかったかしら?」
部屋に居るエドとメルカルロ様も苦笑いだ。
えー?そんなに夕食時の私は暗かったか?
思ったより聖女様の影響が出ている。
ハッキリ言って会いたくなくなったのだよね。
だってサイコパスだもん。怖いもん。
ポレットさんの記憶がないなんて知ったら
速攻で『また生まれ変わってこい!』とか
言われて殺されそうな気がする。
「姉様?姉様?大丈夫ですか?顔が青いです!
エド!何があった!?まさかアダン殿下に何か
されたのですか!?殺しに行きます!」
きゃあーーーーーー!違う!違うから!
「お嬢様はお茶会で聖女様とはどの様なお人
なのかを訊ねられたのです。多分想像してい
た方とはかけ離れていたのでしょう。少々
ショックを受けておられました」
あ。流石だな。エドは。私の事分かってる。
「その通りですわ。そのう……。アダン殿下や
サイラス様が言っていた様なお方でしたら
上手くお付き合いしていけるのかと不安に
なってしまって……。ただそれだけですのよ?
心配かけてしまってごめんなさいね」
「ただそれだけ、ではありません!姉様を
こんなに不安にさせてアダン殿下もサイラス様
も酷い事を!抗議してきます!」
「その必要はないよ?私がしっかりと抗議
してきたからね」
いつの間にか開いた扉に腕を組みもたれ掛かって
立っているルイお兄様。
何だ?そのポーズ。普通の男がしたら吹き出す様
な決めポーズなのにルイお兄様は自然にスマート
にやってのけている。
もう……。神!
「ルイお兄様、今お帰りですの?随分遅かった
のですね?それに抗議とは?」
「今の今までアダン殿下とサイラス殿に
ディアの不安を煽る様な話は謹んでもらい
たいと言っていたのだ」
え?こんな遅い時間まで!?
マジか!
アダン殿下、サイラスよ申し訳ない!
ズンズンとこちらに歩いて来たルイお兄様は
軽々私を抱き上げて自分の膝に乗っけて
座った。早業だ。もうコツを掴んでいる。
「明後日にはパーティーがあるというのに
ディアがこのままの気持ちで楽しんでくれる
か心配になるよ」
ルイお兄様にギュッとバックハグされて
いつもの様に魔力頂いてます。
ほんわか暖かくなって少し気持ちも落ち着い
た。
「そうですか。兄上が言ってくれたのなら……」
ノアは少し悔しそうな顔をしてルイお兄様を
見つめた。
「ノアもルイお兄様も心配して下さってありが
とうございます。でも大丈夫ですわ。だってお
お2人がいますもの!何かあったら守って下さるの
でしょう?」
「「勿論!!!」」
2人は綺麗にハモった。
流石兄弟だな。