私の中の何か
体を鍛え始めてから分かったことがある。
私は基本的に体は弱くない。
運動神経も恐ろしいほどある。
この体はケンカ……じゃなくて戦うのに
適している。
戦闘用に造られたのではないかと思うぐ
らいだ。
そして最初は気のせいかと思っていたのだが
私は体の中で『何か』を育てている……よう
な気がする。
今までの食生活や部屋に籠りきりの生活で体力は
落ちていたものの倒れたりするのはこの育てて
いる『何か』に負担がかかった時のようなのだ。
多分それを守るために。
そう感じる。
その『何か』の正体は全然分からないけど。
分からなくて不気味だけど仕方ない。
とりあえずはそれを育てていかなければならな
いような気がする。
全て『気がする』なんだけどね。
さて!!今日も鍛えるか!と、気合いを入れて
いたらメアリーが来ない。
「メアリーは少し遅くなるようです」
とエドが教えてくれた。
「そっか〜。じゃあ待ってようか。今日は何
しようかな」
メアリーが居ないのでアフロなおばちゃん用語
の私。この言葉使い楽なんだよね〜。
エドと2人の時だけ使えるからなんかホッとする。
「お嬢様、普通の運動にして下さいませ。いつも
倒れてしまうのではないかと心配なぐらいの運動量
ですよ?」
「え?そうなの?だってさ〜。久しぶりに10代にな
ったもんだから体が軽くて、軽くて、そして痛いと
ころが無いもんだからつい……ね」
「痛い……ですか?」
「そう、エドにはまだ分かんないと思うけどね
おばちゃんになると朝起きたら何にもしてないのに
体のどっかこっかが痛いのよ。不思議でしょう?
ただ寝てるだけなのにね。老化ってやつよ。腰やら
腕やらもう大変よ」
「……」
「え?何?信じてないよね?その顔は!いつかエド
だってそうなる……のか?私、おばちゃんにはなった
ことあるけどおじちゃんになったこと無いからな〜」
「あははは……し、失礼しました。そうでございます
ね。お嬢様はおじちゃんにはなれないかと……」
そう言ってからエドはまた笑った。
前は人を馬鹿にするような笑い方しかしなかったエド
が最近は豪快に笑うようになった。ま、全部私の失敗
とかで笑ってるんだけどね。でも舎弟のそんな変化
も嬉しいものだ。
さぁ!メアリーが加わって運動開始!!
ヴィンセット家は大きな庭の中に山が一つある。
山だよ!?凄くない?
それなりの大きさがあるけど道も整備されてるので
登りやすい。適度に木もありいい感じの山なのだ。
最近はその山で走ったり木登りしたり色々やって
体を鍛えている。それをエドとメアリーにぐちぐち
言われるのだ。もう少し普通に運動しろと。
え?これもきちんと運動じゃん。前世の私は小さな頃
田舎で育ち遊び場はもっぱら野山だった。
だから丈夫な体に育ったのだと思う。
多分2人が言う普通の運動って筋トレとか柔軟体操とか
そこらへんのことなんだろうけどさ。
そんなんで2人の愚痴はガン無視して今日も山を走って
走って走り回った。
私は後ろから付いてくる2人をまいて……ではなく何処か
に置いてきて……でもなくて、どうやらはぐれてしまった
ようだ。後ろから追いかけられると前世でヤンチャしてた
頃を思い出してしまい、ついまいてしまう。
あの頃はマッポ……じゃなくて警察の方やちょっとヤバ系
の方などをまいていたっけな……。
1人で山を下っていると小さな訓練場を発見!
屋敷側から登って反対側に下った所に訓練場があったなんて。
何個訓練場があるんだよ、この屋敷は……。
その訓練場には数人の男性が剣を振るっている。
よく見るとルイお兄様とキルア様と……あとは名前知らんな。
ルイお兄様と愉快な仲間たちとでもしとこうか。
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