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怒り sideレオン・ヴィンセット


ディアを救出し更にソフィアの遺体も

ヴィンセット家に安置出来た。

ソフィアの変わり果てた姿に声も出なかっ

たのだが。


関係者が我が屋敷に集まりクラリスの

話を聞く。

私のディアになんて、なんて事を……。

握っている手が震える。その手をローズが

優しく包み込んでくれた。


「あなた?少し落ち着きましょう?」


そう言ってニコリと微笑むローズも怒りで

顔色が悪い。そしてロノフとソフィアの

話だ。その酷い話をディアにしたのかと

私の怒りが爆発した。ルイが抑えてくれ

なかったら魔力暴走していたかもしれない。

だが周りを見ればブロストも皇帝陛下

も皆、それぞれの怒りを放っていた。


あの男、マーカスは幼い頃から知って

いた。ブロストと時々一緒にいる時に

挨拶する程度だったが。

素直で優しい子という印象だった。

ロノフとソフィアが結婚した時とても

喜んでいたのを覚えている。

あれが全て嘘で作られた笑顔だったとは。

騙された。騙されていたのだ。


ブロストと私は皇帝陛下の立ち合いの

もとでマーカスの記憶を見た。

ロノフとソフィアの事件の記憶だけを。

人の記憶は見過ぎるとその者の精神を壊して

しまう事がある。

故に2人の事件のみ見る事になった。


あの男は元々狂っているではないか?

その他の記憶も見ても何ら変わらないと

思うのだが。私はマーカスが本当に

ディアに手を出していないかを確認

したかったのだが……。


ロノフ……。拷問されても治癒力で自分を

治しソフィアを救おうとしていた。

長い間あんなに拷問をされて……。

天使のようなロノフがお前に何をした!?

あんな酷い拷問を毎日、毎日されなければ

ならない事をお前にしたのか!?

その拷問を見させられているソフィアも

日に日に弱っていく。


食べ物も貰えず雪が入ってくる牢獄で

ロノフは息絶えた……。

最後の最後までソフィアとディアの名前を

呼びながら……。


私の最愛……。

私の愛しい弟……。

魔力暴走を起こさなかった自分を褒めて

欲しい。


「アイツ……地獄を見せてやる。ロノフと

ソフィアをあんな目に遭わせてその上

ディアを……ディアを穢そうとした」


私は震える声で言った。

ブロストも皇帝陛下も頷いた。

迷宮入りと言われた弟夫婦の事件はこれで

解決したのだがやるせない気持ちが

消えない。


その後、目を覚ましたディアの側にずっと

付いていたかったのだがローズが部屋に

入れてくれないのだ。

まだ男性は近寄ってはいけない、

とてもデリケートな問題なんだと。


しかし目覚めて直ぐに私がディアを抱き上げ

てメルカルロやエドの所まで運んで行ったの

だから大丈夫なのではないか?


「それはあの2人を救いたい一心で頑張った

のです!本当は鳥肌が立つほど嫌だった

かもしれませわ!」


そうローズに言われてしまった。

そうだったのか?

ディアに直接言われてはいないが


「嫌だった」


などと言われたら一生立ち直れないかも

しれないしその場で魔力暴走を起こして

しまうかもしれない。

ここはローズに任せて後からゆっくり

ディアを愛でよう。

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