エルフの王子様②
メアリーの正体の前に。
私は目覚めて最初にやった事、それは
エドとメアリーを触る事だった。
触る。言い方がちょっとアレだがその通り
なので何も言えん。
3ヶ月振りにふわっと目が覚めたらローズ
お母様が私の手を握っていてくれた。
なので最初に目に入ったのは美人さんの
ローズお母様のお顔だ。
「ディア!ディア!私が分かるかしら!?
ローズお母様よ?分かる?」
興奮のあまりずっと『分かる?』を繰り返して
いたローズお母様。
その声の大きさにレオンお父様やルイお兄様、
ノアとユーリ様、皇帝陛下などなどが部屋に
乱入して来た。
その時の恐怖と言ったら……。
皆、殆ど寝ていなかったのか顔色は青白く目は
充血していてフラフラとベッドに近寄って来る
姿はまるで映画のゾ◯ビを彷彿させる。
心配かけたのは悪かったけど私は1人でかなり
ビビっていた。内緒だけど。
「ローズお母様……?お体は大丈夫ですの?
変な薬を……盛られて……眠ってしまって……
いましたよね?」
ローズお母様のドアップを見て言った私の
最初の一言はそれだった。
「あれはただの眠り薬でしたわ。大丈夫です。
心配は要りませんわ……。自分の方が大変な
目にあったというのに私の心配なんかして
ディアはなんて良い子なのでしょう……」
そう言いながらローズお母様は号泣してしまい
会話が出来る状態では無くなった。
なので次にたまたま目に入った皇帝陛下に
お願いした。
「私を……エドと……メアリーの所へ……」
「お、おう!分かった。俺が連れて行ってやる
から安心しろ!ん?なんだ?抱っこして連れて
行くか?」
もの凄く嬉しそうに私に手を伸ばしてくる
皇帝陛下。
その手を力強く叩き落とす音がした。
チラリと横を見るとレオンお父様が今にも
皇帝陛下の首をはねそうな勢いで睨んでいた。
そんなレオンお父様をニヤニヤしながら見ている
皇帝陛下。わざとだな。
レオンお父様より先に皇帝陛下が目に入って
しまったので思わず頼んでしまったけど。
家族愛溢れるレオンお父様にしたら
こうなるわな。ごめんなさい。
「あ〜、えっと……皇帝陛下に抱っこして頂く
のはちょっと不敬になりそう……なので……
レオンお父様……?」
そう言いながらレオンお父様の方に手を伸ばし
てみた。するとぱぁぁぁとレオンお父様の
表情が明るくなる。
「そうだ。流石は我が娘。陛下に抱っこして
もらうなどとそんな不敬な事は頼めないと
きちんと分かっている。さぁ、私の方へ
おいで」
キタァァァーーーーーーーー!イケメンの
『おいで』コレ私の大好物だ。
目覚めて直ぐに『おいで』頂きましたぁぁぁ!!
ぐほぉぉぉーーー!
「しかしエドとメアリーの所へ行く前にまず
ディアの体調を医師に診てもらう。いいか?」
私を抱き上げたレオンお父様はそう言って
そのままベッドに腰掛けた。
その場に居た皆が一斉に頷いた。
そうですよね。そうなりますね。
宜しくお願いします。