肉体改造計画④
「あ?ばーか!そりゃ秘密に決まってるだろう
が!な?ディア姫?」
キルア様は私にウィンクしてきた。
はい。男の色気悩殺ビームにより瞬殺されまし
た。倒れてもよろしいか?
「あっ、いい機会だから言うけど、口止めもさ
れてないしな。俺、来年魔術学園を卒業したら
ディア姫の専属護衛騎士になる予定だから」
「は!?」
ルイお兄様の綺麗なお顔に青スジが……。
血管切れそう……。
「この前、来年からディア姫に命かけろって
レオン様から直々に指令が下ってね」
えー?そうなの?専属護衛騎士ってことは
それってもしかして学校とか外とか行っても
いいってことなの?
きちんと考えてくれてたんだ。
嬉しいけど……命かけろって。何だそれ。
まぁ、レオンお父様らしい言い方だけど。
「俺もディア姫にならいいぞ。命かけて
もって思った」
おーい!軽すぎ!!過去に1回会っただけの
女に命かけるなんて!
「嬉しいことですけど、命かけるだなんて
そんな……」
私はキルア様を見て遠慮がちに言った。
「俺はねあの時の約束を果たせる時が来た
って喜んでるんだけど?ディア姫、忘れた
か?」
「約束……?」
約束。
約束?
約束〜??
あぁぁぁぁ〜!!
思い出した!あ〜、あれね!あれだ!
「約束ってなんのことだ!?」
「さぁ〜な〜」
とぼけるキルア様を睨みながらルイお兄様が
私の方に向き直る。
「ディア?この男と何の約束を?まさか
け、け、結婚……とか?」
ルイお兄様は今にも倒れそうなぐらい顔色が
悪い。いや、いや、何で結婚の約束とかにな
るんじゃい!5年前って私まだ9歳じゃん。
もしかしてこの世界じゃ9歳でも婚約とか
ありなのか?
「え……と、結婚ではありませんけどお約束
の内容は言えませんわ。ごめんなさい……」
「そ、そうなのか?結婚の約束ではないの?
それならいいよ」
凄く安心した表情になり私をぎゅうっと抱きしめ
てきた。皆んな見てるのに恥ずかしいんだけど。
でも、そっかルイお兄様もノアと同じでディアに
まだメロメロなんだもんね。
そろそろ気がつくとは思うけど。
そしてルイお兄様もメロメロな恋が終わるのだ。
多分……。
「どうせキルアのことだから大した約束でもない
のに大袈裟に言ってるんだろう?」
と、私をそっと離してキルア様を見ながらフン!
と鼻を鳴らした。そんな可愛いこともするんだ
ね。新たな発見だ!!
「しかし、護衛騎士なら私でいいものを……」
「いや、いや、お前は団長だろうが!俺は副団
長だから代わりはいるけどよ」
「いや、私の代わりだって……」
「いねーよ。そこは強く言っておくからな!」
「でもキルアの代わりだって……」
ふふふ。男の友情って何か良いなぁ〜。
うーん。2人を引き離すの申し訳ない……。
「お二人とても仲がよろしいのですわね。
キルア様が騎士団を離れてしまうのはお寂しい
でしょうから私の騎士様は誰か違う方にお願い
し……」
「あ〜それはもっとダメだ。俺じゃない男が
ディア姫の騎士になるなんてそれこそルイが
許さないだろう?それに俺はもうディア姫を
守る気満々だからな」
ヴィンセット家の者ではないのに上から被せ
おったな!うぬぅぅーー!
「な?そうだろう?ルイ」
「………」
「な?」
「仕方がない。父上が決めたことだから」
「ディア姫!OK出たぞ!」
そう言ってキルア様が私の手を取りチュッと
手の甲にキスをした。
はうっ!不意打ち厳禁どすえぇぇ〜!!!
キスされた手は速攻でルイお兄様に優しく掴
まれハンカチで念入りに拭かれた。
そうか〜。キルア様が私の専属護衛騎士様に
なってくれるんだ。来年が楽しみだ。
もしかするとキルア様とは前世のことを話せ
る仲になれるかもしれない。そんな予感がす
るのはセイさんと似ているからだろうか?
私の記憶によるとキルア様はクッキー大好き
なんだよね。だから『クッキー王子』なん
だよな〜。
9歳の私が付けたあだ名だ。
今度クッキーを作ってプレゼントしよう。
こう見えて私はお菓子作りが得意なのだ。
あっ!ルイお兄様にもコッソリあげてレオン
お父様に内緒にしてもらわないと!賄賂だ!
賄賂。
その後ルイお兄様の騎士団にジャージが支給
されたことは言うまでもない。