戦い②
「アクア……アクアじゃん……まだこの世界に
いたの?」
私は力無くアクアに言った。
「ああ、魔王と交渉してたら何やら王城
や女神ちゃんの屋敷やらが騒がしくなった
からちょっと覗いて見たらよー。女神ちゃん
が行方不明になってるって聞いて最後に
恩でも売っとくかってな」
あはは。アクアらしくて笑える。
「……そうかぁ。じゃあガンガン恩売って」
「そうするわ」
アクアは微笑みながら私を抱き上げた。
全身に力が入らなくてダラリとした私を
ギュッと抱き締めてアクアは自分の魔力を
私の体に注ぐ。
するとなんて事でしょう!
モヤモヤした体の怠さもムカムカした
胸の悪さも吐き気も一気に無くなった。
「な、何ぃ〜?アクア!何したらこんなに
爽やかになるの!?」
「あはは!やっぱり女神ちゃんは元気な
方がいいな。そんじゃーあの阿保、片付ける
か?」
「うん」
あの阿保は……じゃなくて学園長はアクアの
突然の登場に驚いて固まっていた。
数秒経ってから興奮したように叫び出した。
「お、お、驚きました!ソフィア姉上は
悪魔まで魅了出来るのですね!素晴らしい
です!私の人生、悪魔に会えるなんて思って
いなかったものですから少し興奮して
います!」
学園長は顔を赤らめてホクホクしている。
え!?悪魔に会いたかったの!?
「では、悪魔の客人は特別室をご用意
しますね!この女を処刑した後、直ぐに
私とソフィア姉上の初夜なのでおもてなしは
明日という事でご了承下さい」
ホクホクしたまま学園長がアクアに丁寧に
お辞儀をした。
「初夜……?そんな事になってんのか?」
「うむ。学園長はその予定でいるみたいで
私の夜着の下には下着が無い。
スッポンポンなんだよね」
「スッ……ポ……。既に何かされたのか!?」
「ぐっ……。全裸見られただけ……。あ、全身
拭かれた……」
口に出すと今でも死ねる。恥ずかし過ぎて
即死出来る。
「よし。今直ぐ殺すぞ……」
「殺したいけど半殺しでお願いしたい。
この後、レオンお父様やユーリ様に
渡したいから」
「そうか……」
多分アクアはこの屋敷に入って来た時に
全て起こった事を把握していると思われる。
アクアって悪魔以上に凄いんじゃない?
魔王の器バリバリだと思うけど。
「じゃあ、ほれ、これ貸してやるよ」
アクアは何処から出したのか知らんけど
私に剣を渡してきた。
「それに俺の魔力を流すからあの阿保を
好きなだけ切り刻め。阿保の魔力は
半分以下に落としてあるから大丈夫だ。
因みに阿保は魔力を落とされた事を分かっ
てーいないからな」
な・ん・で・す・と!?
魔力を落とすなんて出来るのぉぉぉ!?
「女神ちゃんの想像通り俺は普通の悪魔じゃ
ないいんだよね。ま、そこは気にしなく
てもいいから好きなだけ暴れてこい」
あ、また顔に出てました?
それとも心の声が出てました?
爽やかに微笑んで私の背中を軽く押した。
何!?このイケメン悪魔は。
戦う前に腰砕けちゃうじゃん!!