真実
私が恥ずかしさに打ちのめされていたら
目の前にヒュッとクラリス様が現れた。
手足を縛られてゴロンと床に転がって
いる。
「クラリス様……」
「……クラウディア様」
私達はお互いの顔を見つめ合う。
「愛しい妻の名前をお前の様な女に
呼ばれたくないのだけど」
そう言って学園長はクラリス様を蹴り始めた。
コイツ、ノアの事もガンガン蹴ってたよね?
足癖悪い。
「ちょっと!止めなさいよ!」
私が起こると突然、学園長の足が止まった。
「愛しい妻の言う事だから聞こうかな。ふふふ」
ふふふって、おい!何回も『愛しい妻』と
言っているが私はお前の妻ではない!
「え?え?妻?」
「いえ、違いますよ〜。全然妻ではないですよ〜」
戸惑うクラリス様に説明する。
するとクラリス様と学園長が顔を真っ赤にした。
へ?もしやこの異世界語のせいか?
いや、いや、いや、どんだけ効果あるわけ?
「そ、そうですわよね?だって学園長は私にいつも
クラウディア様なんかより私の方が何百倍も可愛い
くてブロスト家に相応しいって言ってくれました
もの!」
「あ、あれは嘘ですよ?あんな嘘を間に受けて
愚かですねぇ。脳みそが乾燥でもしているの
でしょうか?ディアより可愛くて美しい女性など
いるわけがないでしょう?」
学園長がコロコロと笑いながら私に近づいて来る。
「それにお前はこの綺麗な顔に傷を付けた」
私の頬を撫でながらクラリス様を睨む。
うー!触らんで!気持ち悪くて鳥肌が立つ!
それにさっきまで私の顔を壁に打ち付けて
血だらけにしたお前が言うな!
「ですがあれは学園長が少し痛めつけても良いと
言ったから……。あの時に教室の扉を開かない
ようにしたのでだって学園長でしょう!?」
クラリス様は半泣きになって叫ぶ。
「顔に傷を付けても良いとは言っていませんよ?」
そんなアホな。じゃあ最初に顔はダメとか言っと
けよ〜!クラリス様が可哀想じゃん!
「お前はねぇ、私の大事なディアに傷を付けた
のだよ?死刑は当たり前です。さてどうやって
死にたいですか?」
え?だって学園長が指示したんでしょう?
「……死にたくないですわ」
そりゃそうだ。ちょっとは私の事を嫌って
はいたかもしれないけど殆ど学園長が
煽ってたんじゃないか。
「でもねぇ今日は私達夫婦の初夜なのでね、
面倒な事はさっさと終わらせておきたいの
ですよ。お前には分からないと思うけど
ソフィア姉上の血を引くディアとやっと
結ばれるのですよ?ふふふ」
いや、いや。結ばれたくないからね?
「ソフィア姉上……?どなたの事ですの?」
おーい!クラリスさんよ!訊いてはいけない
事もあるんだよー!そこはさらりと流して
おこうよ!変に聞いちゃうと地雷踏むぞ?