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side ノア・ヴィンセット


「ノア、体調はどうかな?」


兄上の声が聞こえた。

姉様がアイツに連れ去られた後、直ぐに父上

と兄上が移転魔法で部屋に現れた。


倒れている母上、血だらけになってヒビの入った

壁に寄りかかって意識の無いエドとメアリー。

床には大量の血の痕。あの2人なら直ぐに姉様の

血だと気がついたはずだ。

そして体が動かなくて肋骨が折れている僕。


父上と兄上の怒りが部屋中に広がった。


僕は直ぐに医師の治療を受け全身の痺れを解いて

もらい自分で肋骨を治した。

でもまだ激しい目眩がするので安静にと言われた

のだった。


「水、飲める?」


兄上が水の入ったグラスを手渡してくれた。

少し飲むと気持ちが落ち着く。


「まだエドとメアリーの意識が戻らない。

吹き飛ばされた時に何か一緒に術をかけた

みたいだ。今、調べているよ。母上は大丈夫。

今は父上が側についているしただの催眠粉

だったようだからね。ノア、少し何があったか

話せるかい?」


兄上が優しく言う。けれどもあの男に関しては

怒りのオーラが出まくっているのが分かる。

僕もだ。あの男だけは許さない。

姉様をあんな風に扱って傷をつけて……。

思い出すだけでも怒りが湧く。


「今、ユーリ様と神殿一族がこちらに到着

する。それまでに把握しておきたい」


「分かりました」


僕はこの部屋で起こった全てを話した。

けれど一つだけは言わなかった。

『異世界人』の事だ。

あれは……。前に一度だけ姉様の部屋に行った

時に扉の前で聞いた事がある。

姉様とエドが話しているのを。


その姉様の話し方がこの世の物とは思えない

ぐらいに魅力的で可愛くてクラクラしたのを

覚えている。

あれは何?と、姉様にもエドにも聞けずに

いた。


「そうか……。誘拐未遂もあの男がやった事

だったのか。あの大量の血は……相性の

合わない魔力を体内に入れたら普通、内臓

が溶けて即死だ。ディアは頑張ったのだね。

あの小さな体で……」


兄上が声を震わせている。


「姉様は……」


「今、全ての『影』に居場所を探させているよ。

あの男の詳しい事をユーリ様から聞き出さないと

場所の特定は難しいかもしれない。あの男は

恐らく神殿一族で1番の魔力持ちだ。残っていた

魔力の鑑定をしたらそう結果が出たよ」


そんな……。ただでさえ神殿一族は神に近いと

言われるぐらいの魔力持ちだ。

その中でトップだなんて。

でも納得がいった。メアリーはエルフ族の中

でも凄く強い。なのにあんな赤子を捻るように

あっさりと吹き飛ばし更に術をかける事が出来

たのだから。


姉様は今頃、どんな目にあっているのかと思うと

鳥肌が立つ。1分、1秒でも早くに場所を突止めて

姉様を救い出さなければ。


「兄上……。これは僕の勘ですが叔父上を殺し

叔母上の行方が分からないのもあの男が関わって

いると思います。僕が叔父上に似ていると、反吐が

出ると言っていました……」


「何だって!?分かった。ノアはまだ休んでい

なさい。私は今の話を父上に報告してくる」


兄上はそう言ったか言わないかのうちに

部屋から出て行ってしまった。

あの狂った男を殺さなくてはきっと姉様は一生

帰ってこない。叔母上のように……。

いつも読んで頂きありがとうございます♪

今年の更新は今回が最後となります。

来年も楽しんで更新していきたいと思って

いますので是非お時間のある時にでもお立ち寄り

下さいませ〜♪

少し早いですが皆様、良いお年を!

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