クラリス様の行方③
「何故この様な事を?」
「ふふふ。それは貴方が前世『金色の女神』
であって『異世界人』でもありソフィア
姉上の娘だからですよ?この世界においてもう
貴方の様な稀少な人間は現れないだろう。その
貴方を手に入れたいと思ってもおかしくはない
でしょう?」
私の前世が異世界人だって知ってる!?
「あ、何故『異世界人』だと知っている
のかって顔だね?私はね、何でも視える力が
あるのだよ。ユーリよりも優れているのさ。
これだけではなく全ての魔力においてユーリ
より勝っているよ?ずっと秘密にしていた
けどね。ああ、何故異世界人だと分かって
いるのかって話だったね。視えるのもある
けれどあの1年前の誘拐未遂事件の時にね
貴方が話している言葉が聞き慣れない言語
だったからね。あ、そこの従僕と話していた
言葉とは違うよ?戦いながら独り言を言って
いた方です。気が付いていないのかな?」
え?独り言、あ、よくユーリ様に言われる
『心の声』ってやつ!それをもしや……
聞き慣れない言語って。日本語!?
おばちゃんになるとさテレビ観てても独り言。
買い物行ってスーパーでも独り言。
私だけか?
そして戦ってても独り言って笑えないわ。
独り言おばちゃんだ。
ヤバイ、ヤバすぎるな私。
それにしてもあの誘拐未遂事件の現場に学園長
がいたの!?
「あの現場に居たのですか?」
「そうですよ。あれは私がユーリとレオンに
少しだけ嫌がらせをする為に貴方を襲わせたのだ
から。私が見に行かなくてはいけないでしょう?
力が使えない貴方があそこまで戦えるとは予想外
でしたが……。あれは『異世界人』の時に習得した
技ですよね?本当に貴方は興味深い。あの時に私の
手元に置くと決めたのです」
ああ、なんか違う。いつもの優しい
学園長じゃない。綺麗なお顔は変わらずだけど
私には化け物にしか見えない。
あの優しかった学園長はずっと仮面を被って
たんだね。
その時、しゃがんでいたエドが素早く立ち上がり
赤い光を学園長に放った。
学園長は笑いながらその光を全て弾き飛ばした。
私の手は学園長に掴まれたままだ。
「間違ってクラウディア嬢に当たったらどうする
のですか。ふふふ。やはり薬を吸い込まなかったの
だね?あの時に学習したのかな?」
「お嬢様を離しなさい」
エドが静かに言ったと同時に突然学園長が後ろを
振り返り飛んできた緑の光の輪を粉々に砕いた。
学園長が振り返ったものだから私も引っ張られ
ブンブン振り回される。掴まれてる手が痛い。
後ろには眠らされたはずのメアリーが光の弓を
持って立っていた。
「お嬢様を離せ」
メアリーは怒りを抑えきれないのか彼女の周りから
青いオーラが出ている。
「うーん。やはりエルフには効かなかったかな?
改善しないといけないね。エルフの君とはあまり
戦いたくないのですよ?君に何かあっては戦に発展
するしね。うーん。でも私はクラウディア嬢
と一生出られない屋敷で生活するからこの国が
何処と戦になっても関係ないかな……」
学園長の長い独り言の意味がちょっと分からない
部分もあるがそれは置いといて。
屋敷内で2人が魔力を使ったからこれは……。
「あ、クラウディア嬢?この屋敷内で魔力を使った
からセンサーに引っかかると思った?残念だね。
私がこの部屋に入ったと同時に外漏れしないよう
に何重にもシールドを張ったから誰にも気が付かれ
ていないよ?あ、エルフも従僕も動かないで下さい
ね?こちらにはお前達の大事な、大事なお姫様がいる
んだよ?」
そう言って学園長はまた私を引き寄せようとした。