クラリス様の行方②
「ローズ、大丈夫だ。誰がディアを襲いに
来たって私達がいる。絶対にディアに指一本
触らせない」
私の頭を優しく撫でながらレオンお父様が
ローズお母様に微笑んだ。
ローズお母様も安心した顔をして微笑んでる。
うん。美し過ぎるザ・ベストカップル!
言い方がちょっとおばちゃんチックなの
は許して。
この国のトップの方々に守られている私は
絶対に大丈夫だと皆んな思った。
私もだ。しかしこんなに分厚い護りを難なく
ぶち破ってくるなんて誰も予想していなかっ
た。
ランチ後、ユーリ様もレオンお父様もルイお兄様
もお仕事に行ってしまった。
クラリス様の事もあり、私、女神様が傷つけられ
た事もあり今、皇帝側と神殿側で色々と話し合い
がされているようだ。
アダン殿下やイザーク殿下も私のお見舞いに
来たいとレオンお父様に言ったようだがもう
元気になったので今のゴタゴタが片付いたら
来て欲しいと軽く拒否されたとノアから聞いた。
そんなこんなで今、午後のお茶をローズお母様と
ノアと3人で飲んでいる。
すると学園長が私のお見舞いに来るという連絡が
来た。
「珍しいですね?ユーリ様を介さないでお越し
ですか?」
ノアが私に『お味見どうぞ』をしながら顔を
傾げた。勿論、私はノアの膝の上に座っている。
「学園長ですもの。それにユーリ様の弟君
でしょう?ユーリ様を介さないでも問題ないわ」
ローズお母様が学園長を出迎える為に一階に降り
て行った。
確かに私に関しての神殿側の窓口はユーリ様で
皇帝側の窓口はレオンお父様なのだ。
「学園内では直接お誘いをいただいて一緒にお茶
しpてましたものね」
「「え?そうだったのですか?」」
ノアとエドが驚く。
「え?お2人共知らなかったのですの?私、結構
な頻度で学園長室にお茶しに行ってましたわ
よ?」
ノアはともかくエドまで知らない?
何故?エドはずっと私についていたはず……。
部屋の中がしんとしてしまった。
ノアとメアリーが渋い表情をする。
エドが考え込むような仕草をした。
そして言った。
「おかしいですね。私はずっとお嬢様の様子を
見ていましたのに学園長室に行く姿は記憶に
ありません」
エドよ、怖い事を言うな。
嫌な予感がするじゃないかーい。
「記憶操作あるいは時間歪みの魔法か?」
ノアがまたまた怖い事を言う。
私、泣きそうだ。
「あ!そうですわ!学園長が来るのならノアの
膝から一先ず降りますわ。恥ずかしいですもの」
そう言って私はスッとノアの膝から降りて隣の
椅子へと移動しようと立っていた。
すると扉が開きローズお母様と学園長が入って
来る。来るのが早いな。
「ああ、クラウディア嬢、体調はもう大丈夫
なのかな?顔色も良いね」
にこやかに学園長が私に近寄って来た。
私が挨拶をしようとすると突然に手を
引っ張られ引き寄せられた。
驚いていたら学園長が私の耳元で囁いた。
「さあ、迎えに来たよ?一緒に行こうか」
「え?行く?」
私は嫌な感じがして学園長の手を振り払おう
としたが握られている力が強すぎてびくとも
しない。
次の瞬間、学園長が空いている方の
手で銀色の粉を部屋中にまいた。
するとローズお母様とメアリーがその場
で倒れエドがしゃがみ込む。
「姉様!」
ノアが私の方に手を差し伸べるとその手の甲
に素早く学園長がプスっと何かを刺す。
「!?」
ノアが声もなくその場でしゃがみ込んだ。
「ノア!?」
私は叫んでノアに走り寄ろうとしたが学園長
の掴む力が半端なく強くてその場を動けずに
いる。
「大丈夫ですよ?ご婦人達と従僕はただ眠ってい
るだけでノアくんは聖騎士候補で光魔法が使える
のでそちらの体質に効く痺れ薬をね用意しました
ので。命に別状はありませんよ」