気を失っていた時の事
私は目を覚ました。
見慣れた天蓋付きベッドの天井。
私の部屋だな。
顔を横に向けると私の手を握った
まま座りながらうとうとしている
ノアが居た。
ふっ。またノアにお世話になってしまっ
たか。本当にポンコツなねーちゃんで
ごめんよ〜。
そう思っていたら部屋のドアが静かに
開いてエドが入って来た。
目が覚めた私を見つけてもの凄い
早足でベッドまで来る。
エドには是非、競歩に出て欲しいわ。
その速さ。絶対に一位取れるって。
「お嬢様!お気づきになりましたか!
お体、痛いところなどございませんか?」
エドが半分叫んでるみたいに訊いてきた。
その声にノアが起きた。
「姉様!」
私がエドの質問に答える隙を与えずに
ノアが抱きついてきた。
「守れなくてごめんなさい。痛い思いを
させてごめんなさい。怖い思いをさせて
ごめんなさい……」
ノアが消えそうな声で謝ってきた。
その様子を見てエドは部屋を出て行った。
多分レオンお父様達に知らせに行ったな。
「ノア、何故謝るの?私の方こそまた
貴方に治療してもらったのでしょう?
謝るのは私の方ですわ。そしてありがとう」
私を抱き締めている手が震えている。
「学園では僕が絶対に姉様を守るって
父上や兄上に言っていたのに怪我まで
させてしまいました……」
「ノアは悪くありませんわよ?怪我はノア
のせいではありませんし」
私はノアの頭を軽く撫でる。
すると私を抱き締めているノアの力が
強くなる。
「姉様は何故そんなに優しいの
ですか……」
「ふふふ。優しくなんてないですわ。
普通でしょう?ノアの方が何百倍も
優しいですわよ?」
ノアが抱き締めていた手を緩めて私を
離し顔をじっと見つめてきた。
「貴方って人は……もう……。僕が
優しくするには姉様だけですよ?」
いつもとは違う大人っぽいノアの
表情。そして呟きが聞こえてきた。
え?なんかとっても良い雰囲気なの
ですけど?とてもあま〜い雰囲気だ。
ヤバい!おばちゃん流されそう!
「ディア!目が覚めたのか!」
そんな雰囲気を正面からぶっ壊してレオン
お父様が部屋に入って来た。
その後に続いてルイお兄様、ローズお母様、
メアリー、そしてユーリ様まで!
あっという間に美男美女に囲まれてしまっ
た私。ちょっとビクビクしちゃう。
いつになったらこの眩しい人達に慣れる
のだろうか……。
眩しい人達はひと通り私の体調を聞いて
安心したようだ。
そして……。
「エドが保健室に運んだ時にはもう既に
ノアが来ていてな。直ぐに治療を始めた
のだ。その直後に私とルイが駆けつけた。
ディアはピアスもネックレスも付けてい
たのに我々が感知したのは多分保健室に
ついた頃だろうか……」
レオンお父様が私が倒れたいた時の事を
語り出した。