ユーリ様のご親戚③
嫌がらせを軽く躱しながらもそれなりに
自分の中では楽しい学園生活を満喫し
ていた時、学園長から呼ばれた。
久しぶりの学園長室だ。
「突然に呼びつけてしまって申し訳ないね」
学園長は美しいお顔に優しい笑顔で迎え
てくれた。
「いいえ。大丈夫ですわ。何か私に
ご用が?」
「ちょっと小耳に挟んだのですが……」
言いにくそうにしている。
もうこれはクラリス様の事だろうね。
「クラリス様の事ですか?」
「そうです。色々嫌がらせされているとか」
「あの様な子供がするみたいな事、
嫌がらせにもなっていないですわ。
気にしていません。ですのでユーリ様
に言うとかヴィンセット家に言うとか
その様な大事にはしないで頂けると
助かりますわ。あ、あと本人に注意
もです。多分私が学園長にある事ない事
言いつけたと言われそうですので」
だって、クラリス様直ぐに抹殺されち
ゃうよ……。それに本人注意は逆恨み
してくるぞ、絶対に。
学園長は少し驚いたような表情をした。
「クラウディア嬢はお強いですね。母君の
ソフィア姉上とそんなとこがそっくりです」
あ。そうか。そうだ。学園長は母様の弟さん
だ。
「似ています?」
「はい。とても。ソフィア姉上は優しくて
凛としていて天使の様なお人でした」
「そうでしたのですね。私には母様の記憶が
ありませんの。周りの方もあまり母様や父様
の事を話したがらない様に感じるので私も
訊かない事にしています」
「そうなのですね。気になりませんか?どんな
人だったのかとか……」
「うーん。そうですね……気にならないと言えば
嘘になるかもしれませんわ」
「私もソフィア姉上がどんなに素晴らしい女性
だったのか娘さんの貴方に知って欲しいのでたま
にこうやってお茶を飲みながら昔話に付き合って
くれませんか?」
ひゃー!私なんかより学園長の方が女神みたい
だよ!微笑んだお顔がヤバすぎる。
もうこれ、はいとしか言えない。
人たらしだ。
「クラリス嬢の事ですが彼女は遠い親戚筋の
娘さんですが殆ど血のつながりはブロスト家
とはありません。ですが彼女の母親がプライド
が高くかなり近い親戚の様な振る舞いをしてい
ます。その様な輩は沢山いるのですよ。
ブロスト家は害にならないのなら良いと
放っているのですが。クラリス嬢が度をこし
た嫌がらせをしてくるようであれば
対処しますので直ぐに言って下さいね」
「はい。分かりました」
やはりサイラスが言ってた通りだったか。
凄いなサイラス。だてに1000年生きてない。
それからちょくちょく私は学園長とお茶の時間
を作って母様の話を聞いた。
そして学園長の身の上話も。
学園長はいわゆる妾の子でユーリ様兄弟、姉妹
達に遠慮しながら暮らしていたそうで。
そうはいってもユーリ様達に虐められていたとか
では決してなく反対にとても良くしてくれていた
んだとか。
その中でも私の母様がとても優しくしてくれたと
話してくれた。
母様の話をする学園長はとても幸せなお顔を
していた。私まで幸せな気持ちになった。