ユーリ様のご親戚②
私も立ち上がり挨拶をした。
「初めまして。クラウディア・ヴィンセット
ですわ。ユーリ様のご親戚ですのね。
よろしくお願いしますわ」
「私、貴方と仲良くする為に挨拶しに来た
訳ではございませんのよ?学園に入ったと
言うのに一向に挨拶に来ないものだからそんな
失礼なご令嬢を見に来ましたの」
え?そうなの?でもユーリ様から親戚の子が
居るよ〜何て聞いていなかったしな。
挨拶しに行くにも行けんでしょう。
「それは大変失礼しました。でもユーリ様から
クラリス様の事を聞いていませんでしたので
挨拶するも何も……」
「聞いてない?それは嘘ですわね?そんな嘘を
ついてまで私に挨拶したくなかったと。分かりまし
たわ。貴方がその様な態度ならばこちらもその様に
させて頂きますので」
そう言ってさっさと歩いて行ってしまった。
何じゃありゃ?
「何ですか?あの令嬢は!失礼にも程があります!」
クラリス様が言いたいことをガンガン言って居なく
なってしまったのでノアも呆気に取られている。
「いるんだよね。あーゆー勘違いなご令嬢。多分
ディアがユーリ様から何も聞いてないって事は
遠いい、遠いい血なんか繋がってるって言って
いいのかよ?ってぐらいの親戚なんじゃねーか?
無視だ、無視!」
ふむ。でもあの感じはよくある気に入らない
から嫌がれせしてやれ状態になるやつじゃな
いか?絶対にそうだ。
折角の楽しい学園生活がぁぁー。
もう嫌んなちゃう。
「ところでサイラス様はイザーク殿下に
お会いするのが初めてだったようですけれど
同じ王城に住んでいるのでは?」
私は疑問に思って訊いた。
「ああ、俺、基本部屋に閉じこもってるから
殆どアーサー以外と会った事ねーんだわ」
引きこもりか。最初の頃の私だ。
そうか。何か親近感。
そして私の予想が当たり次の日から嫌がらせが
始まった。サイラスと一緒の授業の時は居ない
のだが1人で取っている教科の時間には必ず
クラリス様が居て皆んなの前で何かと私をバカ
にする事を言ってくる。
「あの有名な『山猿』様はこの授業をきちんと
理解しているのかしらね?ふふふ」
取り巻きご令嬢達もふふふと合わせて
笑う。凄いな連携プレイ。
うん。確かに私、山猿。あの噂はまだ有効
なんだ!そっちの方にびっくりさ。
そしてこの授業、ホント難しくて理解して
ないわ〜。クラリス様、よく分かったね!
「魔力も無いのに魔力実演教科を取るなんて
頭おかしいのではないの?」
うん。魔力無いのではなくて体内にはゴンゴン
渦巻いてあるみたいよ?そこは心の中で訂正
しとくね。
でも見学みたいな形で参加していいって先生
が言ってたもん。
と、その他色々言ってきたりノート破られて
たり足引っ掛けられたりとお子ちゃま的で
古典的な嫌がらせのオンパレード。
悪いけど貴方の倍以上生きちゃってる
おばちゃんには全然響かないんだよー。
だからユーリ様には勿論、ノアやサイラス
にも特に言っていなかった。
でもお付きのエドやアクアにはバレているので
何度かユーリ様に言って本当に親戚か確かめて
みたり嫌がらせを止めるよう言ってもらえば
って言われたけどね……。
ホント、こんなの私が前世でヤンチャしてた時を
考えたらお遊び程度なわけで、何ともないのよ。