ユーリ様のご親戚
うわー!1番見られたくない人に見られた!
「あら?イザーク殿下、ご挨拶申し上げます」
と、席から立とうとしたら手で静止された。
「いや、いい。それよりそれは俺も出来る
のかな?」
ん?それって?
「イザーク殿下にご挨拶申し上げます。それ
とはこれの事でしょうか?」
ノアが私を隠すように立ち上がって頭を下げて
からイザーク殿下にフォークを見せた。
「そう、それだ」
「ダメです。これはヴィンセット家の者だけが
出来るのです。ご遠慮下さい」
「ほう?王族でもダメなのか?面白い」
ノアとイザーク殿下の間に火花が散ったように
みえた……けど、戦っている内容が『お味見
どうぞ』ではちょっとね……。
「あーダメ、ダメ。いまだに俺だってさせてくれ
ないから」
サイラスがイザーク殿下に言った。
「おお、貴殿がサイラス殿か。
初にお目にかかる」
イザーク殿下がそう言って軽く頭を下げた。
アベル様もだ。
え?サイラスって大魔導師って知られてから
アダン殿下の住んでる王城でお世話になってる
って聞いたんだけどイザーク殿下と会った事
無いの?
「ああ、君がアダンの弟か。似てるなぁ。
よろしく頼むよ」
それね、その言い方が学生っぽくないよ?
「で、今日はどうして学園にいらしたのです?」
私はイザーク殿下にこれ以上『お味見どうぞ』
をつっ込まれたくないので会話を振った。
「ああ、学園長に用事があってね。丁度食堂の
前を通ったらディアが餌付けされていたもの
だからつい声をかけてしまった」
餌付けって。くぅ〜!この先ずっと言われそう
だな。
「そうですか。では学園長がお待ちになって
いるのでは?早く行った方が良いかと」
ノアが私が言うより先に言ってしまった。
そう、そう。早く行け。
「そうだね。ではディア、また」
私にだけぇぇ〜!!そーゆーの良くないぞ。
今度会ったら説教だ。
ふとアベル様を見た。
「あら?アベル様、髪の毛のお色染めました?」
前に会った時ってそんな髪色だったけ?
「……いえ?前からこの色ですよ?」
ニッコリ微笑んでイザーク殿下と食堂を出
て行った。
んー。そうだったか〜。アベル様あんな髪色
だったけか?ホントおばちゃんダメだわ〜。
「あら?貴方がクラウディア・ヴィンセット嬢?
ユーリおじ様が可愛い、可愛いって凄く言うもの
ですからどんなご令嬢かと思っていましたの。
ふーん。普通ですわね」
そんな声が聞こえた。
今度は何?
顔を上げるとオレンジ寄りの金髪にスラリと
背の高い美人令嬢がお取り巻きと思われるご令嬢
2人を伴って立っていた。
「初めまして。私ユーリおじ様の親戚でクラリス・
バンダーと申します」
そう自己紹介をしてニッコリと微笑んだ。