肉体改造計画
「お嬢様、注文していた物が届きました」
そう言ってメアリーが部屋に入って来た。
「あっ、出来上がったのね!」
私はメアリーがテーブルに置いた物をじっと
見つめた。
そう!私はこれから体を鍛える為にこの屋敷
にある広い庭で運動をすることにしたのだ。
それに必要な物といえばまず「ジャージ」だ
ろう。
前世ヤンチャしていた時に1番動きやすかった
のだよ。スウェット上下もまーまー動きやす
かったけどやっぱりジャージは安心感がある。
なんの安心感かは知らんけど。
色々な生地を見せてもらって1番ジャージに
近いのを選び、こんな感じで〜とデザイン画
を描いてお店の人に渡して作ってもらったのだ。
本当は街にあるお店に行ってみたかったんだけ
どそれはレオンお父様からOKが出なかったので
お店の人に屋敷に来てもらった。
で、今日そのジャージが完成したのだ。
したのだけど……。
エドもメアリーも一緒に運動したいって言った
ので3人でお揃いのデザインにしたはず……。
え……とぉ……。
私用のジャージだけが恐ろしく乙女ちっく
に仕上がってるのは何故だ?
私がデザインしたのは前世でお馴染みの
ジャージだ。普通に前にファスナーが付いてる
やつね。この世界にもファスナーあってよかっ
たぁ〜。
生地は黒色で右腕にはヴィンセット家の家紋が
金と銀の糸で刺繍されている。
本当は背中に龍とか虎とか『喧嘩上等』とか
刺繍したかったけど堪えた。私、堪えたよ!
……話しを戻そうか。
そんなカッコいいジャージが3人分届くはず
だった。
何これ?1枚だけピンク色のジャージが混ざと
るよ?しかもレースでできてる大きなリボンが
ファスナーの上にドン、ドン、ドンと縦に
3個も付いとる。ファスナーを閉めた後にその
リボンをボタンで固定するようになってるけ
どさ、リボンいる?
袖先にはリボンを作ったレースとお揃いのが
ヒラヒラと二重についとるし。
ズボンの裾にも同じレースが付いてるけど
レースいる?
「ねぇメアリー?これは何なのかしら?」
「あっ、お嬢様にはやはり可愛らしいのが
お似合いになると思いましたので私がデザイン
を変更しておきました」
はぁ!?お前か!お前がこんなブリブリラブリー
なジャージに変えたのか!!!
「でもこんなに色々付いていたら動きずらいと
思うのだけど……」
「いえ、大丈夫です。お嬢様の動きに邪魔になら
ないようお作りしましたので!」
ほう……。君は私がチョロチョロ、ヘロヘロしか
動かないと思っているようだね?
お遊び程度だと……。
「ふふふ。分かったわ。可愛いおリボンありが
とう……」
「いえ、お気に召して下さって嬉しいです!!」
相変わらず大きい声だな。
私達の会話を聞きながらエドが下を向いた。
肩が震えている。
お前!笑いを堪えているだろう!
エドめ!舎弟なのに!
後から分かったのだがメアリーはこのブリブリ
ラブリーを着替え用に50着も注文していた
のだ。ふっ……。
運動靴はこの国の騎士様達が愛用している
戦闘用ロングブーツがあるのでそれの
ショートバージョンを作ってもらった。
うん。スニーカーまではいかないにしても
運動しやすい。