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最初からバレる


誰だと思ったらエドアルドだよ。

何だエドじゃん。

彼は私の従僕。小さ頃から魔力が

強かったので護衛も兼ねている。

12歳でまだ子供なんだけどね。

他に私にはメイドのメアリーも付い

ている。

着替えやお風呂なんかはエドに

やってもらえないから。

ちなみにメアリーは17歳。

今はお使いを頼まれて外出中だ。

って、色々知っちゃってる私は

誰なんだ……。


「お嬢様?」

紅茶色の髪にまだ華奢な体。水色の

綺麗な瞳をしているエドは少し怪訝そう

な顔をしてまた私に声を掛けてきた。

うん。美少年だ。西洋の美少年。

しかし表情は曇っている。


だよね。さっきの踊り絶対に見られた

もん。

あれは私が黒魔術みたいなので変な物を

召喚しようとしてたって思ってるよね……。

そんな顔してるもん。


ええ〜い!誤魔化せ!誤魔化せぇぇ〜!!

「え〜と、ここで質問で〜す!

私は誰で〜すぅ〜かぁ〜?」

思わずイントネーションがおかしく

なっちゃったけどそこは大目に見て下され。


「お嬢様はクラウディア様でござい

ますが……?」


………。やはり私はクラウディア。

まさかとは思ってたけど。

クラウディア……。最近私がハマって毎日の

ように読んでいた物語りの主人公だ。


「うん。やっぱりね。クラウディアだよね」

私は小さな声で呟き何度も頷いた。


「お嬢様?どうされましたか?ご自分のお名前

を聞かれたりして。やはり先程お倒れになった

時に頭を少し打たれたので少々混乱を……」

そこで言葉を切ってエドは私の胸辺りを

凝視した。


へ?何?怖っ!

エドってば綺麗な顔してるから無表情になると

とてつもなく怖いよ。

もしかしてバレた⁈私が偽物クラウディア

だって。逃げた方がいいのか⁈

今、誤魔化しても後々バレたりしたら抹殺され

ない?うーぬ。ならばここは素直に……。


「あの……」

「はい。何でございましょう?」

だから無表情怖いってば。

「じ、じ、実は私、クラウディア…さん?では

なくてですね、いや体はクラウディアさんなん

だけど中?中身?が違うっていうか……」

ビクビクしながら訴えてみた。


エドは何も言わずにまた私の胸辺りをじっと

見つめた。


「どうやらそのようですね。お嬢様の魂の色が

変化してますので」

は?魂の色とはなんぞや?


「何それ?変化って?」

「先程、お倒れになる前は無色透明でしたが

今は七色に光っております」


七色⁇光ってるぅぅー⁈

イメージ的にはミラーボールみたいな⁈

七色の魂を持つ女。

いやーん。カッコよくない?

エドってば魂が見えるなんて凄いね!


「それはどうなの?良い事?」

「良いかは分かりませんが七色の魂は初めて見

ました。何故だか興奮します!!!」

エドは握り拳を自分の胸に当てて鼻息荒く

大きな声で言った。


へ、へえぇぇ〜。いつも冷静なエドが大興奮

しとる。七色すげぇぇ〜!

よく分からんけど。


「あのさ〜。クラウディアさんが別人格になっ

ちゃったのに気持ち悪くないの?嫌じゃない?」

「私はお嬢様が存在さえしてくれれば別人格で

あろうと特に問題はありません」

「へ⁈」

「私の仕事は『お嬢様』にお仕えする事なので」


うひょーーー!!いいんだ。

違う人になっちゃってるのにいいんだ!

仕事か……。

クールだな。12歳。


「でも、クラウディアさんが私みたいなおば

ちゃんになっちゃうって抵抗ない?」

「おばちゃん……ですか?」

エドはじっと私の顔を見る。

わぁ。やっぱり美少年だな。


「あれ?魂見て大雑把でも若いとか年配とか

分かんないの?」

「はい。分かりません」

「ふーん。そうなんだ」

色しか分かんないんだ。あんまり役に立たな

そうな力だな〜。


部屋の中がしーん。エドが黙りになってる。

中が別人格になってもいいのに年齢は気に

なるんかーい!


「年齢気になる?」

エドがはっとなる。

「あっ、いいえ。そんな……女性に年齢の

話など……そんな」

気遣いが出来る12歳……。


「私、年齢非公開だけど5歳の孫っち

がいるおばあちゃんだよ」

「………」

エドの目が宙を泳いでるけどそんなに

ショックか⁈

ちょっと傷つくぞ。


「でも、でも、で〜も〜、私も私の娘も

結婚早かったから世間的にはおばあちゃん

ポジションだけどそれなりに若いからエド

から見ればおばちゃんぐらいな感じだよ」

いや、エドからしたら『おばあちゃん』も

『おばちゃん』も同じなのか⁈


うわぁ〜。エドの顔色がどんどん土気色に

なってきた。なんだかツボってしまった

ようだね……。私の年齢がさ……。


「あ、あのさ、私、この状況を自分なりに

整理したいから少し1人にしてもらって

もいい?変な事は絶対にしないから……」

エドもさ、1人で考えたいでしょう?多分。


「は、はい。畏まりました。では、何か

ございましたらそちらのベルを鳴らし

て下さいませ」

そう言ってドアから出て行くエドの

後ろ姿が恐ろしく哀愁帯びてる……。

12歳の哀愁。何だか素敵だ。


さて。順を追って考えてみよう。

が、その前にトイレ……。トイレはどこ?






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