1000年前の事④
「で、現魔王達と戦ってる最中に親父は
女神ちゃん一派に捕まった。だけどあれって
女神ちゃんは疑ってたけどアーサーや
大魔術師が魔王だからコイツだろうとか
言って捕まえてたんだよな。ほんとアイツら
馬鹿だったわ」
「なんか、すいません」
私は記憶に無いがとりあえず謝った。
「いや、女神ちゃんが謝る事はない。女神ちゃん
は親父と戦ってる時から分かってたっぽいし。
アイツらが勝手に鏡に閉じ込めたんだ」
それでか〜。あの2人、この時の事を話し
たがらないのは。
「で、解放された親父は現魔王の事を話して
自分が終わらせるからってまた戦いに行って
殺られちまった。そしたらアイツが直ぐに魔王
になりやがって俺達の一族狩りを始めやがった。
殆どが殺されて今、生き残ってるのは数人って
とこだ」
「そうだったんだ……」
「俺は直ぐに違う次元に飛んで大人しくして
たから見つけにくかったようだ」
「現魔王は今、この国、この世界に居るんで
しょう?なのに何故戻って来たの?」
「あ〜。そうなるわな。うん。この話はここま
でだ」
えー!意地悪だ。
ユーリ様やイレーネ様、アンリ様は流石に
色々驚いている様だ。
「今、話した事は全て本当なのか?」
ユーリ様が確認する。
「当たり前だ。こんな昔の事を嘘ついて
どうする?何も得する事なんかねーだろう?」
「……お前の目的は分からないがディアには
害は無さそうだから護衛騎士として側に居る
のは許す」
おっ。ユーリ様が許してくれたぞ。
「悪いが俺は誰に許されなくても暫くは女神ちゃん
と一緒にいる事に決めてるんでね」
「え?何で?」
「面白そうだから」
は?そんな理由?絶対に違うだろう。
そのうち聞き出してやるから。
「ふふふ。ディアちゃんってばやっぱり凄い
子ね。女神様の生まれ変わりってだけでも
凄いのに悪魔までひれ伏させるなんて」
イレーネ様が感動してる。
でも、ひれ伏させてないし。
「うん。本当だね!聖と悪の垣根を越えて
硬い友情を結んでるなんて感動ですよ!」
アンリ様も涙目になってる。
いや、だからそんなに仲良く無いよ?
一緒に居たいのは面白いからだって言ってる
よね?それって半分は興味があるって事
だと思うけど半分は馬鹿にされてないか?
どう見たら『硬い友情』になるのかな?
「何だ?女神ちゃんの周りには阿保が多いな。
俺と女神ちゃんを見て何故そうなる?」
アクアが私に問いかける。
そんな事、知らんがな。
この人達は女神様の事になると少し頭が
お花畑になるのだよ。
この説明で納得してくれるかな。
 




