私、変わるんです!
その日の夜。
ベットに入り考えた。
殆ど外に出ない生活。このままの
生活だと何故前世の記憶が戻ったのか
何故こちらの世界に転生したのかを調べ
るのに支障ありすぎる。
まずは外に出なければ色々な情報も入って
こない。
私としてはあのデブ専に話を聞くのが1番
早いと思っているけどこの状況では探す
のも困難だ。
それにデブ専がこちらの世界に存在してるの
かさえも不明。
ヴィンセット家の溺愛ぶりから予測すると
今の状態で外出したいとお願いしても絶対に
護衛騎士を何十人と付けられるだろう。
それならまだいい方かもしれない。
直にレオンお父様やルイお兄様、ノアが
ついてきちゃったら目も当てられない。
物語を読んでた時はこんなイケメン達に溺愛され
大切にされて羨ましい!!なんて思ってホクホク
してたけど実際に自分の身に起こると面倒くさい
のね。とほほほ……。
……うーん。とりあえず
この年齢なら学校に行くことからやってみた
らどうだろうか?
学校に行って友達作ってその友達とお出掛けし
まーすって外に出れればよくない?
頻繁には無理だとしても少しでも。
ゆっくりでいいから情報を掴めれば……。
それぐらいしか思いつかない……。
友達か……。なんかこちらでの友達も欲しいかも。
ただ純粋に……友達が欲しいな。
次の日の朝。メアリーに支度をしてもらって鏡を
マジマジと見た。自分で言うのもなんだけど
すっごい美少女だな!!朝からヤバイわ。
でも物語で語られていた妖艶なお色気は微塵
も無い。お色気が行方不明中だぞ、おい!
あのお色気を纏える!って楽しみにしていた
のになぁ。
とほほ……。
と朝から気落ちしていると
「ノア様がいらっしゃいました」
と、エドの声がした。
ドアの方を見ると
「姉様、今朝のお加減はいかがですか?」
と言いながら天使なノアが走って来た。
眩しい……。目がつぶれるかと思った。
「き、き、今日も姉様は可愛いですね……」
と顔を真っ赤にして照れながら言う。
はぁぁぁぁ〜!?
何?この可愛い生き物は!
可愛いすぎるだろうがぁぁー!
朝から私の足は生まれたての子鹿のように
ガクガク震えた。
危ない、危ない。
起きたばかりなのにまた意識が無くなる
とこだった。
私が倒れた次の日から毎朝ノアが朝食前に部屋
まで迎えに来てくれるようになった。
心配だからとダイニングルームまで一緒に行って
くれるんだそうだ。
エドもメアリーも居るから本当は大丈夫なこと
は分かっているのだろうけど迎えに来てくれ
るって嬉しいね。愛情だ。ふふふ。
ついついおばあちゃんモード全開になっちゃう。
孫に手を引かれるおばあちゃんの気分。
最初はエスコートって言うの?手を差し出された
のでその手を取って歩いてたんだけど今は前世で
言う恋人繋ぎに変化しちゃってるんですが!?
更に恋人繋ぎした私の手をノアは自分の口元に
持っていきチュッと手の甲にキスをしてくる日
もあり……。
「!?」
と、なった私を見てニッコリ微笑むノア。
くっ……ダメだ。
天使すぎて止めろとは言えない……。
物語のノアは姉様にメロメロだったもんね。
ごめんよ。お色気ゼロになっちまってよー。
前世の記憶が戻ったらお色気が行方不明に
なるなんて聞いてなかったからさー。
丁度さっき鏡見て自分でもガックリしてた
とこよ。
性格が見た目にも出てしまうのか?
それならば仕方ないと諦めねば。
アフロなおばちゃんの性格は色気の『い』
の字もないからな〜。
そのうちノアも気づくのだろう。
恋焦がれた姉様は変わってしまったのだと。
それと同時にメロメロだった恋心も終わり
を告げるんだろうな〜。
そんなことを考えているうちにダイニング
ルームへと到着した。